Todd McClenathan 『In Our Lovetime』LP 1982年作

ニューヨーク州南西隅に位置するシャトークア郡のフレードニアからひっそりリリースされ

たAORの名盤。住所表記の仕方や、主役のMcClenathan兄弟がアレンジからエンジニア・プ

ロデュース、そして全曲の作詞作曲まで行っている意欲的な制作姿勢から、自身で立ち上げ

たレーベルからのプライベート盤と捉えて問題なさそうです。裏ジャケに兄弟の写真があり

まして、よく見ると鼻の形と髪型こそ違いはあるものの輪郭や顔のパーツが瓜二つなので、

一卵性双生児なのではないかと疑っています。まぁ、そんなことはどうでも良いのですがww

  

実はこのアルバム、中々のレア盤らしいんですよね。ということで、未入手の方のために、

本日紹介することにしました。下記に視聴動画を貼ってありますので、AOR好きの方は、

是非試してみてください!

メンバーとサウンド

今作はパワフルで深みのある演奏とヴォーカルがとても印象的で、全曲リード・ヴォーカル

を担当している実質リーダーのTodd McClenathanがアーティスト名になってはいるもの

の、バンドならではの体感を強く感じるアルバムです。サウンドは、AirplayとかTOTOとか

が好きな方には持ってこいの王道のAOR。例えるなら、TOTO(もしくはSteely Dan)の演奏

にThe Doobie Brothers風のコーラスを加え、Daryl Hallがリード・ヴォーカルを取った様

   

なバンド。Toddさんの歌声が本当にDaryl氏にそっくりですので、Hall & Oatesが好きな人

には是非聴いて頂きたいです。McClenathan兄弟を含む4人のメンバーと担当楽器は以下の

通りです。

Todd McClenathan・・・Lead Vocal , Keyboards and Synthesizers

Michael McClenathan・・・Drums , Assorted Percussion and Vocals

Greg Popadaris・・・Electric and Acoustic Guitars , Vocals

Alfred Buonanno・・・Fretted and Fretless Basses



アルバム内容

片面4曲ずつの全8曲の収録になっており、Side-1の4曲目のみインスト・ナンバーですが、

他は全てDaryl氏風ヴォーカルのToddが全曲をリードを取っています。楽曲もメロー・

バラードとテンポの良いRock系AORとが半々くらいのバランスの取れた構成になっていま

す。以下、収録曲になります。ご参照ください。

Side-1

1 「What A Way To End The Day」

2 「It’s In The Stars」

3 「Anniversary Lovers」

4 「Buffalo Blizzard (a snowbelt sonata)」

Side-2

1 「In Our Lovetime」

2 「High From Our Love」

3 「I’m Livin’ Now」

4 「This Can’t Be The End」

全体的に捨て曲の無い粒揃いの楽曲が立ち並んでいますが、その中で気になる曲をピックア

ップして見ていきます。まずは冒頭の「What A Way To End The Day」。シンセ主体のク

ールなグルーヴ感は年代を感じますね。AOR直系の楽曲で、メリハリの効いたリズム・セク

ションが最高です。Todd氏のヴォーカルもDaryl氏程の歌唱力は高くないですが、味のある

良い声をしていて、ハマると抜け出せないそんな魅力があります。

続く「It’s In The Stars」。これを聴くと、UKのPower Pop Band・Advertising のヴォー

カルの歌い方を思い出します。何となく気の抜けた緩い感じが良いです。

そして「Anniversary Lovers」と「High From Our Love」、「This Can’t Be The End」

は、どれも泣きのメロディが好きな方向けのメロー・バラード。演奏はやや控えめでリード

に焦点を当ててます。オーソドックスで月並み感は否めませんが、まぁ及第点でしょう。

「Buffalo Blizzard (a snowbelt sonata)」はSteely Danを彷彿させるグルーヴ感満点な

Fusion・ナンバー。これ目当てで購入する人もいるかも。Side-2の1曲目に繋がるフレーズ

が飛び出したり、高次元なグルーヴ感で攻め、中盤に突如としてピアノ・オンリーでクール

ダウン。かと思えばアグレッシブな即興性を伴ったギター、シンセ、ベースそしてドラムの

ソロ・プレイを披露。最後には前半のフレーズに再び戻るというめくるめく展開です。なか

なか聴き応えある内容。その他は、モロAirplay風の「I’m Livin’ Now」も良いですね。

16ビートの疾走するハイテンションなサウンドは、AORというよりむしろHard Popという

方がしっくりきます。こちらも、間奏に演奏者全員のソロプレイがあり、カッコ良い。

ゆいさんのおススメ

やはり極めつけは、パワフルでメロディアスなRockチューン「In Our Lovetime」!

都会的で洗練されたサウンドは、この曲で頂点に達し、鋭角的な力強さや張り詰めた緊張感

が絶大なエネルギーのうねりを生んでいます。冒頭のプログレ風フレーズや、Daryl節が炸裂

なTodd氏の巧みなヴォーカルも然る事ながら、ドゥービー風コーラスが効果的なアプローチ

を演出していて特に素晴らしいですね。モロTOTOを思わす極上の逸品に仕上がってます。

最後に

このアルバム以外ですと、The Mcclenathans名義で「This Christmas Eve」という曲を吹

き込んでいます。女性ヴォーカルも登場しますが奥様でしょうか?こちらは、SoundCloud

で聴くことができます。なお同曲がUpされている彼のYou-Tubeチャンネルでは、もう1曲別

のクリスマス・ソングが聴けますよ!ただ、これはトランプ大統領を痛烈に批判しているコ

ミカル・ソング。人によっては音楽に政治を持ち込んだり、宗教や詩的表現を創造したりと

様々なんですね。このアルバムが、今は亡きもう1人の兄弟Scott McClenathanに捧げた事

情も踏まえると、Todd氏にとっての音楽というのは、表現方法の一つとして捉えている節が

あるようです。そんな訳で、今日はこの辺で!