The Singers Unlimited 『With Rob McConnell & The Boss Brass』LP 1979年作

即興演奏がジャズの魅力・醍醐味と感じる方からしたら、ライブやツアーそしてコンサート

出演などの生の演奏を一切行わないThe Singers Unlimitedは、ただの異端者に思えるかも

しれません。ただ、「音楽に対する限りない可能性を追求して歌う者たち」という意味合い

を込めて名付けられたアーティスト名から分かる様に、彼らは始めたそばから既成のジャズ

・コーラスをするつもりはなく、コーラスで彩る新世代の音空間を構築する姿勢でいたので

す。彼らのアルバムがどれも高水準なのは、その音楽(コーラス)にかける意欲や情熱の強さ

の表れなのでしょう。スタジオ・レコーディングに重きを置き且つ洗練されたコーラス・ハ

ーモニーを売りとするスタイルはSoft Rockと共通する部分もあり、ジャンルは違えど十分

に楽しめるのではないかと思ってます。しかも今回紹介するこの79年作は、昨日紹介した

The Hi-Lo’sの『Back Again』と同プロジェクトで、カナダ産Soft Rock界におけるオーケ

ストラの重鎮Rob McConnellが演奏を全面的にバックアップしていて、ヴォーカル・ハーモ

ニーだけでなくゴージャスなビッグ・バンドの演奏面も合わせて楽しめるお得なアルバム

なのです!ということで本日は彼らの通算13枚目となるアルバムをご紹介しましょう!

アルバム内容

今作は、前述した通りThe Hi-Lo’sの再結成盤と同時期に制作されています。2枚とも1978年

6月に、カナダはトロント・サウンドステージスタジオにてRob率いる楽団の演奏がレコーデ

ィングされており、そのテープを元にThe Singers Unlimitedが8月にThe Hi-Lo’sは9月に、

と順にヴォーカルを上から被せて出来上がりました。そんな兄弟的な両作は、ご想像通り似

たサウンド・作風です。ただ紅一点のBonnieがいる分、こちらの方がコーラスに瑞々しさが

あります。収録曲のほとんどがジャズ系スタンダード・ナンバーで固められていて、彼らが

往年の名曲をどういったアレンジで、どの様なコーラスで料理していくのかが最大の聴き所

です。毎度の如く、ですが完璧なコーラス・ワークと時折見せるSoloパートはどちらも極上

の仕上がり。コーラス・ファンには必聴ですね。以下、収録曲になります。

Side-1

1 「Tangerine」・・・Schertzinger / Mercer

2 「Laura」・・・D.Rasin / Mercer

3 「Lullaby Of The Leaves」・・・B.Petkere / Young

4 「You Are My Sunshine」・・・Davis Mitchell

5 「Sophisticated Lady」・・・D.Ellington / I.Mikks / M.Parish

Side-2

1 「A Beautiful Friendship」・・・Styne / Kahn

2 「It Might As Well Be Spring」・・・R.Rodgers / O.Hammerstein Ⅱ

3 「Chelsea Morning」・・・J.Mitchell

4 「Dindi」・・・Jobim / R.Gilberto

5 「Pieces Of Dreams」・・・M.&A.Bergman / LeGrand




ゴージャスな演奏が響き渡るアップ・テンポな「Tangerine」で幕を開けます。コーラス・

演奏共に凄い勢いに圧倒されます。2曲目は一転して落ち着いたスロー・バラード。ボサノヴ

ァ調の美しい旋律についうっとり。続く「Lullaby Of The Leaves」は、ミディアム・バラ

ードな1曲。後半のアレンジのカッコ良さに度肝を抜かれます。4曲目で再びハイ・テンショ

ンな1曲。こちらはヴォーカリーズ・コーラスが圧巻ですね。ラストはLynne McNeilも極上

カバーした「Sophisticated Lady」は、サウンド・チェンジを繰り返しながら、完成された

コーラスで聴かせてくれます。

B面に移ると、やはりアップ・テンポで始まります。2曲目ではDon Sheltonの歌声でしょう

か、素晴らしいSoloパートがありますね。この曲は、様々なリズムで展開するミュージカル

的な楽曲で6分を超える大作。続くJoni Mitchellのカバー「Chelsea Morning」は、こちら

もヴォーカリーズで圧倒させます。ラストはソフトでドリーミーなコーラスで上手く締めて

くれてます。

ゆいさんのおススメ

個人的なハイライトはSide-2の4曲目「Dindi」。コケティッシュな節回しで魅了するBonnie

Hermanの歌唱と、洗練されたコーラス・ハーモニーが見事にブレンドされてます。ボサ・

タッチでメローなサウンドや洒落たアレンジなども含め1級品と言える1曲。

最後に

彼らの歌唱スタイルに一つ難点があるとすれば、ややアカデミックになり過ぎる点でしょう

か。そこが彼らの長所ではあるのですが、私的にはもう少し肩の力を抜いて、アレンジも程

々にして、メロディもより聴き易くポップに奏でて欲しいところ。そういったことから、彼

らのアルバムは通して聴くというよりは、好きな曲を寄せ集めて自分なりのベスト盤を作っ

て聴くという邪道な(?)聴き方をしてますww

特にお気に入りなのが『Feeling Free』の「So Many Stars」や、『A Special Blend』の

Gotcha」、『Friends』の「Just Friends」などなど。

で、今作に関しては全体を通して聴くことが多く、そこはやはりRob McConnellの功績に依

るところが大きいのでしょうか。豪華なビッグバンドによるダイナミックな演奏やアレンジ

の妙、そして間奏のホーン・ソロなんかも思わず聴き入ってしまいます。今作は一般的には

どういう評価なんでしょうか。リアルタイムで聴いていた方々にはどのように映っていたの

か気になりますね。また機会があれば他の作品も紹介します。では本日も良い一日をお過ご

しください!