The New Generation Singers 『Flying High』LP 1971年作

英国を代表するダンサー・グループThe Young Generationのメンバー達により結成された

5人組のコーラス・グループ。メンバーには、後にTV業界で世界的に有名になるNigel

LythgoeとKen Warwickが在籍していたことで、本国イギリスでは非常に名の知れた名盤。

   

Ken Warwickは『American Idol』のプロデューサーとして、Nigel Lythgoeは世界で最も成

功した振付師・プロデューサーとして知られるようになります。

 

私がアメリカ在住時に『So You Think You Can Dance』という視聴者参加型のダンス・

オーディション番組を良く見ていたのですが、実はその審査員として出場していたのが

Nigel Lythgoe。当時は、まさか彼の若かりし頃のレコードを聴くとは夢にも思ってません

でしたが・・・。ちなみに私が見ていた中で断トツに良かったのはシーズン4で優勝した

Joshua Allen。Vice ChampionのTwitchと比較するとやや身長は低いものの、バレエで培っ

た体の柔らかさと抜群のジャンプ力、そしてあのリズム感が他を圧倒していました。

    

話が逸れてしまいましたね。で、こちらのアルバムですが、タイトル『Flying High』は、

単なる取って付けた名称ではなく、この作品において大きなテーマとなっています。曲名や

歌詞の中から「Fly」や「High」などの言葉や同じニュアンスを持ったフレーズが飛び出

してきます。さらにハイ・テンションで高揚するサウンドや男女混声のコーラス・スタイル

もタイトルに相応しい内容で、正しくSoft Rockの王道と言える名盤に仕上がっています。

特筆すべき点は、そのSoft Rock視点の選曲の良さです。The 5th Dimensionの

「Up,Up And Away」の定番カバーから、The Cowsilsの大名曲「We Can Fly」や、

Caterina Valenteの隠れたボッサ名曲「Canto De Ossanha」の英詩版「Let Go」、

さらにあのノヴェルティー作品『Pan Am』のメインテーマ・ソングを取り上げるなど、

   

Soft Rockファンには夢の様なナンバーが立ち並んでいるのです。カラフルでサイケっぽい

表ジャケからは想像できない程Soft Rockの魅力が凝縮されていますので、未入手の方は

是非下記の動画で視聴だけでもしてみてください。

きっと皆さんの欲しいものリストに加わることでしょう!

コーラス隊のメンバー

メンバーは、女性2名、男性3名の計5人。メンバー全員The Young Generation出身の方々で

す。Linda LawrenceのみThe Second Generationにも参加しております。

女性メンバー:Heather Beckers、Linda Lawrence

男性メンバー:Donald Torr、Nigel Lythgoe、Ken Warwick

LindaとTorrは、The Young Generationの初期メンバーとして参加してました。

その後、新メンバーとして加わったのがHeatherとNigelとKenの3人。

ちなみにDonald Torrはヤンジェネと並行して69年、70年とCBSに2枚のシングルを残し

ていて、Barbara Mooreが作曲、指揮、アレンジを全面的にバックアップしています。



アルバム内容

今作は両面6曲づつの全12曲の収録で、カバー・ソングを中心としたアルバムです。

テーマがテーマだけに全曲アップテンポな疾走感溢れるナンバーがズラリと立ち並んでま

す。曲の中で(イントロなど)静かな歌いだしやゆったりとスローな部分もありますが、サビ

では決まって天に駆け上っていき、ハイテンションなサウンドが炸裂です。

以下、収録曲になります。

Side-1

1 「I Guess I’ll Have To Learn To Fly」・・・Becoat

2 「Come Fly With Me」・・・Cahn-van Heusen

3 「Up,Up And Away」・・・Jim Webb

4 「Let Go」・・・Powell-de Moraes-Gimbell

5 「We Can Fly」・・・Kornfeld-Doboff-Cowsill

6 「Seven Four Seven」・・・Moore

Side-2

1 「Go Where You Wanna Go」・・・Philips

2 「For Once In A Lifetime~The Goin’s Great」・・・Woloshin /Pfaff

3 「Fly Me To The Moon」・・・Howard

4 「1,2,3(Fly Away)」・・・Frechter /Goodisono

5 「Now You Can Fly」・・・Smeddies

6 「Leaving On A Jet Plane」・・・Denver

幾つかピックアップしてご紹介しましょう!

まず冒頭の「I Guess I’ll Have To Learn To Fly」は、メローなイントロとハイテンション

なサビとのギャップに驚かされます。サビから一気にスローにクールダウンする瞬間が非常

にスリリングで聴き応えあります。ゴキゲンなコーラスがカッコよく決まってますね。続く

Frank Sinatraの名曲「Come Fly With Me」は、ボサノヴァ調に見事なアレンジを施し、

お洒落な逸品に仕上がってます。間奏のサックス・ソロが何ともエレガントで素敵です。

そして「Up,Up And Away」や「We Can Fly」はオリジナルにこそ及ばないものの、男女混

声コーラスによる掛け合いやユニゾンは、正にSoft Rockそのもの。どちらもエンディング

をカット・アウトさせている点は評価できます。

そして注目したいのは「Let Go」。前述した通りCaterina Valente「Canto De Ossanha」

の英詩版「Let Go」カバー。ジャジー・ボッサなメロディといい、張り詰めたスリリングさ

や重厚なコーラスも含め、最高な1曲です。ここまでのSide-1の流れが本当に素晴らしい

です。Side-2も60年代の後半に沸騰したフラワー系コーラス・グループのサウンドを踏襲し

た楽曲が多く、そちらも十分楽しめます。その辺を全てひっくるめて動画を編集しましたの

で是非、視聴してみてください!

ゆいさんのおススメ

私的ハイライトは、Side-2の2曲目「For Once In A Lifetime~The Goin’s Great」!

The Name Of The Game Is Go.』に収録されたオリジナル・テーマソングである

「For Once In A Lifetime」とSammy Davis Jr.の「The Goin’s Great」の2曲を上手く組

み合わせたブレンド作品。大サビで「The Goin’s Great」のフレーズが登場しますが、

前後のメロディとの違和感は全くなく、まるで元々1曲であったかの様な、まとまりのある

構成になっています。こういった如才のないアレンジだけではなく、コーラスや効果音、

そして間奏のブラス&ピアノによるSoloプレイまで、随所で光るセンスを発揮しておりま

す。「Panam」では1分程と曲の長さが短かっただけに、ここで彼らが完成形とも言える

納得のいく1曲に仕上げてくれたことに本当に感謝したいです。

最後に

Side-1からSide-2までの曲名が一つのストーリーになっているのに気付きましたでしょう

か?最後には無事離陸出来たみたいですね。こういった遊び心ある工夫やインテリア映え

する色彩豊かなジャケットなど、楽曲内容以外の部分でも一押しのアルバムです。

Soft Rockファンには是非入手して頂きたい1枚です。