The Mike Sammes Singers 『Our Love Story』LP 1971年作

タイトルや表ジャケから連想される様に今作は「Love Story」というテーマに沿って選曲さ

れたアルバムになってます。実際聴いてみると明るい曲はほとんどなく、暗くメランコリッ

クなスロー・バラードが多くを占めています。明るいハッピー・チューンばかりの68年作

Love Is A Happy Thing』とは好対照といった感じですね。「Love Story(恋愛)」の明暗

を分ける、言わば対になった作品として制作されたのでしょうか?

本作は、映画のテーマ・ソングやジャズのスタンダード・ナンバー、そして当時のヒット曲

の3種を上手く組み合わせた選曲になっていて、とても興味深いのがBlood Sweat & Tears

の「Spinning Wheel」。原曲でインパクトのあるホーン・サウンドをヴォーカリーズで表現

したりと、彼らの持ち味を上手く利用したアレンジになっていてとても聴き応えあります。

他にもBacharach作「Close To You」やSergio Mendes & Brasil ’66「Pretty World」な

どのカバーも内容が良く、一見地味な印象を与える今作にも素敵な楽曲が収められていま

す。中でもMike Sammes本人が作曲した「Can’t Think Of Words To Say」は、Soft Rock

ファンには素通り厳禁な1曲。そちらは下記の「ゆいさんのおススメ」で視聴動画と合わせて

ご紹介します。

アルバム内容

Side-1

1 「Where Do I Begin ? (Love Story)」・・・Lai / Sigman

2 「Scarborough Fair / Canticle」・・・Simon & Garfunkel~Trad.

3 「Close To You」・・・Bacharach / David

4 「Because You Are There」・・・Ramirez / Newell

5 「Pretty World」・・・M & A. Bergman / Adolfo / Gaspar

6 「Night School」・・・Stellman / Springfield

Side-2

1 「The Windmills Of Your Mind」・・・M&A Bergman/ Legrand

2 「Here’s That Rainy Day」・・・Burke / Van Heusen

3 「Spinning Wheel」・・・Thomas

4 「Can’t Think Of Words To Say」・・・Redway / Sammes

5 「What Are You Doing The Rest Of Your Life ?」・・・M & A. Bergman / Legrand

6 「It’s Impossible」・・・Wayne / Manzanero




オープニングを飾るFrancis Lai作曲の「Where Do I Begin ? (Love Story)」と、続くS&G

のカバーはどちらも暗めのバラード。3曲目「Close To You」は、特別に派手なアレンジな

どはないのですが、男女共にウィスパー気味の歌唱が何とも心地よくメローなんです。

Soft Rock的な解釈だとCarpentersより数段上をいく内容だと思います。ミディアム・バラ

ード「Because You Are There」を挟み、セルメンの「Pretty World」。本作で唯一明るい

曲と言えばこの曲くらいでしょうか。可愛らしく心温まる男女混声ハーモニーが最高です

ね。間奏とエンディングでスキャットを交えたり、原曲よりも良い内容。ラストはややミュ

ージカル仕立てな1曲。出だしのダバダバ・コーラスが圧巻です。

B面に移りますとMichael Legrandの「The Windmills Of Your Mind」とミュージカル・ソ

ング「Here’s That Rainy Day」という定番カバーで始まり、Soft Rockにアレンジされた

「Spinning Wheel」で一気に引き込まれます。ラストの2曲はエモーショナルなスロー・バ

ラード。どちらもメランコリックなメロディがとても美しく、特に「It’s Impossible」は、

じっくり聴きたい1曲。素晴らしいです。

ゆいさんのおススメ

Mike Sammesのオリジナル・ナンバー「Can’t Think Of Words To Say」がとにかく秀

逸。3分20秒の曲で終わりまでメロディは同じなんですが、前半と後半、つまり1分40秒

ずつにサウンドがはっきりと異なっているんです。ピアノの静かな伴奏から始まる前半は、

簡素な演奏をバックにしっとりとメローに聴かすバラード。これはこれでとても美しく、と

ろけてしまいそうに甘いんです。で、凄いのが後半。まずリズム・チェンジの合図としてラ

テン系のピアノ・ソロが入ります。そこから一気にテンポが早くなり、サウンドはボサノヴ

ァ調に。さらに男女混声のスキャット、ユニゾン、ハモり、掛け合いと怒涛のコーラス・ワ

ークを披露。エンディングの締めも素晴らしく、文句ない1曲に仕上がってます。特に後半部

の展開には度肝を抜かれましたね。自分の想像をはるかに超えているというか「凄い」を通

り越してむしろ「畏敬の念を抱く」レベル。脱帽です。

最後に

『Love Is A Happy Thing』程ではないですが、そんなに高値ではないもののあまり市場で

見かけない比較的レアな本作。ということで、見かけたら即Getした方が良いですね。