The Mike Sammes Singers 『Love Is A Happy Thing』LP 1968年作

TVやCM、そして数多くのアーティストのバッキング・コーラスを務めた彼らの数ある

作品群の中でも、飛び抜けてSoft Rock度が高いアルバムがこちらの1968年盤。今作は、ソ

フロ本や某レコード店のSoft Rockセールなど、各所で取り上げられているのでジャケット

だけでも見たことがある方は多いかと思いますが、希少価値の高い作品ですので、実際に手

にされてる方は少ないかもしれません。他の作品と比べると、どんなサウンドが特徴的で

どの様な位置づけにあるのかを解説していきます。

Soft Rock度の高さ

今作がSoft Rock寄りと言えるアルバムになっているには、2つの理由があります。まず一つ

に、Peggy LeeやTonyHatch、The Maggie Eaves Singersなどで人気の「I Must Know」

  

  

や、お馴染みJimmy Webb作「Up And Up Away」などの、Soft Rockファンのお誂え向き

とも言える素晴らしい選曲内容。そしてもう一つにバランスの取れたサウンドとコーラス・

スタイル。他のアルバムでは、ジャズやラテン系、同年代のヒット曲を集めたポップ系の作

品など、アルバム単位でスタイルや作風というものが固定されています。しかしながら本作

では、様々なスタイルが混同しつつ、全体的にはソフトにまとまっているのです。コーラス

に関しましても、派手過ぎず地味過ぎず、かといってトリッキーなスキャットやヴォーカリ

ーズなどの遊び心も忘れずに、といった内容。正に、中道を行くSoft Rockスタイルという

のが、見事に具現化できているのです。

例えばハーモニー至上主義者のような方であれば、多少物足りなさを感じるかもしれません

が、そういった方はむしろ『Smooth』や『Sounds Sensational』などのコーラスに特化し

た作品をおススメします。

 

コーラス隊のメンバー

6人の男女混声のコーラス隊のメンバーは以下の通りです。

Enid Heard、Valerie Bain、Marion Madden、Nick Curtis、Mel Todd、Mike Sammes

『Smooth』の頃と比べると3人減り、新たにNickが加入した人員構成。裏ジャケには、クレ

ジットがあったりなかったりです。なので、年代別にどのようにメンバーチェンジが行われ

ていたかは、分かりません。

 

動画で見る限り、真ん中の人がMike氏かな??画質悪すぎて、よく分かりませんが

このコーラスの上手さはやっぱり規格外。どんだけ練習したんでしょうね。

アルバム内容

今作は片面6曲ずつの全12曲の収録で、Mike Sammesによるオリジナル作品であるSide-2の

2曲目「Hurry Up Sunrise」以外は全てカバー曲という構成になっております。

プロデューサーのWalter J.Ridleyや、オーケストラのアレンジを手掛けるJohnny Scott

など、いつもと変わらない布陣での制作となっています。収録曲は以下の通り。

Side-1

1 「Love Is A Happy Thing」・・・Tony Michaels / Vinny Gorman

2 「I Must Know」・・・Neal Hefti / Lillian Mattis

3 「Draw Me A Circle」・・・Cy Young

4 「When I Learn To Love Again」・・・Herbert Kretzmer / Woodman

5 「Oh! What Did You Do」・・・Peter Vincent / Ronnie Price

6 「Yesterdays」・・・Jerome Kern / Otto Harbach

Side-2

1 「Up, Up And Away」・・・Jimmy Webb

2 「Hurry Up Sunrise」・・・Herbert Kretzmer / Mike Sammes

3 「Summertime」・・・George Gershwin

4 「Don’t Ask Me」・・・Les Reed

5 「Do-Bi-Do」・・・Roy Budd

6 「Come Back To Me」・・・Jay Lerner / Burton Lane



楽曲内容

まずSide-1から

1 「Love Is A Happy Thing」冒頭を飾るに相応しい明るいポップなメロディと、晴れやか

な歌詞、そして力強いビートが上手く合わさったグルーヴィー・ポップチューン。後半部分

での、一転スローにリズム・チェンジしてからの絶品ハーモニーが聴き所。

2 「I Must Know」軽快なボサノヴァ・リズムに乗って掛け合う混声コーラスが素敵な

1曲。巧みでウィットに富んだ歌詞も見逃せません。彼らにしたら、かなり抑え気味の

コーラスですが、上品な仕上がりになっていて、これまた味わい深い。

3 「Draw Me A Circle」Mike氏がラジオでBarbra Streisandヴァージョンを聴き、選曲に

至ったそうです。しっとりと聴かす気品あるバラードですね。

4 「When I Learn To Love Again」こちらも同様な美しいバラード。メロディも良く

メローでうっとりするような流麗雰囲気がよろしい。

5 「Oh! What Did You Do」ウキウキ感が止まらない、小気味良いボサノヴァ・テンポ

が最高の1曲。

6 「Yesterdays」今作唯一のアカペラ・ソング。よっぽどコーラスに自信がない限り

こんな高度な曲できないでしょうね。

B面に移ります。

1 「Up, Up And Away」数多くのアーティストにカバーされてますが、かなり上位に

入る出来。個人的には5th Dimensionより好きですね。何とも爽やかな好カバー。

2 「Hurry Up Sunrise」Mikeさんが、ピアノの前に座っている時に突然メロディが

浮かんできたそうです。こういう作曲スタイルって、Eric Carmenと一緒ですよね。彼も

シャワー中やドライブ中にメロディが閃くと言ってました。子供の頃は、寝ている間に

メロディがどんどん浮かび、起きた時にすぐメモできるように、紙とペンを枕元に置いて

いたそうですよ。すみません、話が脱線してしまいましたね。

この曲は、間奏のスキャットがカッコよく、素晴らしいSoft Rockナンバーになってます。

3 「Summertime」ポップ・スタイルなリズムでカバーしてます。こちらも間奏部分

のスキャットが強烈です。

4 「Don’t Ask Me」Marianne Faithfull主演映画『The Girl On A Motorcycle』のテー

マ・ソング。暗く静かなムード系バラード。

5 「Do-Bi-Do」タイトル通り、「ドゥビィドゥビィ」というスキャット・コーラスが

全体を占める華麗なジャズ・ワルツ。オクターブ・コーラスも何のその。後半の畳みかけ

は、聴き応えあり。

6 「Come Back To Me」ショウビズ感溢れる、豪華なBig Bandとコーラス隊のハーモ

ニーが、見事に絡み合った贅沢な逸品。楽しさと気品を兼ね備えた今作のクライマックス

と言えそうです。

宜しければ、下記Mix動画で全曲視聴できますので是非お試しください。

最後に

今回、久しぶりに聴き直してみたところ、他の作品より女性コーラスが幾分前面に出ている

ように感じました。それが、今作をよりSoft Rock感を増しているのかもしれませんね。

Soft Rock最高峰の1枚としておススメします。