The Jerry Toth Singers 『Moment Of Love』LP 1970年作

寒さが本格的になるこの時期に聴きたくなるのが、春の暖かみを含んだ今作。

ではまず、このグループの立役者であるJerry Tothさんについて。

カナダはオンタリオ州南西部にあるウィンザーに生まれたJerry TothことJaroslav Tothは

ジャズ系のフルート&サクソフォーン奏者(アルト)であり、同時にアレンジャー、作曲も

こなすマルチミュージシャンです。

音楽一家の彼はトロントのロイヤル音楽院を卒業した後、

8年程の長い期間にダンスバンドのアルト・サクソフォン奏者の一員として

多くのミュージシャン達と演奏を続けました。そして1954年以降はジャズバンドを

指揮するようになり、CBC関連の仕事に携わるようになります。

CBCで制作に関わった作品の中で格段に内容が良いのが今作『Moment Of Love』。

エンジニアにLarry MoreyとIan Jacobson

プロデューサーにDavid Birdを起用されました。

IanとDavidは数多くのカナダ産ソフトロックの名盤に名を連ねてきましたので

クレジットを見ただけでも期待は高まります。

今作はSide-1、Side-2それぞれ6曲ずつ、計12曲収録されております。

インストが4曲で、他8曲は男女混声ハーモニー(「Moment Of Love」のみ女性コーラス)。

Jerry氏は元々が金管楽器の演奏者だけあって、聴いてみて特に目(耳?)を引くのは

ダイナミック且つ優雅なオーケストラサウンドです。

コーラスの方はどちらかと言えばThe Laurie Bower Singersに近い質感に満ちていて

違いと言えば、やっぱりバックのオーケストラなんですよね。

私は基本、あまりインストは好んで聴かないんですけどSide-2の5曲目の

「How I Think Of You」には仰天しました。ボサノヴァ調のグルーヴィーなサウンドに

思わず息を呑みます。このゾクゾク感はなかなか味わえませんよ!・・・多分。

でも、やはりソフトロックファンにオススメなのはコーラス物です。

カントリーやフォークよりの少々単調な曲も中にはありますが

男女混声ハーモニーが本当に美しいのでメロディの良し悪しなんて忘れさせてくれます。

そんな中で今作の私のオススメ曲は、

Side-1の幕開け1曲目「Let’s Go To The Country」。

正に素晴らしいの一言。コーラス隊とブラスバンドが絶妙に交錯する見事な名曲。

嬉々として歌うコーラス隊の勢いに圧倒されます。




Side-1の2曲目「It’s Over」。

男女混声ハーモニーが心地良いですね。何度も聴き返したくなる曲です。

トロントのフリーランス記者による裏ジャケの推薦文に書いてある通り

美しいハーモニーとキレのあるアレンジ、

そして華々しいオーケストラバンドの完璧な調和はカナダ産ならではのサウンド。

当時~そして現在でも正当な評価はされていないものの、

このトータリティを意識したハイレベルな楽曲群は、輝きを放っておりますし、

我々ソフトロックファンが目を光らせてカナダ産Soft Rockに注目していることが、

その内容の良さを如実に物語っていると言えますね。

まだまだ紹介したい作品が多数あるので、これからもお楽しみに。

ちなみにThe Jerry Toth Singers名義では他に2枚のシングルをリリースしております。

少し文字数が多くなってきましたので、また次回紹介しますね~。 ではごきげんよう。