The Hi-Lo’s 『Back Again』LP 1979年作

タイトルから見て取れるように、1964年に解散してから14年後に再結成を果たした彼らの

第1作目に当たるアルバムがこちら。1978年9月17日に米・カリフォルニアで行われる第21

回Montreux Jazz Festivalへの出演が決まったことを受け、1977年11月からもう一度コー

ラスの練習を重ね、加えてアルバム制作の始動したとのことです。そのFestivalが開催され

る9月に合わせてリリースされた今作は、カナダ産Soft Rock界におけるオーケストラの重鎮

Rob McConnellが指揮したことでも話題になってますが、演奏とヴォーカルは別録音となっ

ています。楽器演奏の録音は、1978年6月にカナダ・トロントにて録音され、その3ヶ月後の

9月に、西ドイツ・フィリンゲンにあるスタジオでThe Hi-Lo’sの面々が上からヴォーカル・

ハーモニーも被せる形で完成しました。パワーアップした再編The Hi-Lo’sのハーモニーに加

えて、Rob McConnellによる極上オーケストラ、さらにファンに人気な名曲を洗練された改

善ヴァージョンで再録するなど、これ以上ない最高の形でカムバックを果たしてくれまし

た。ジャズ・コーラスとは言え、濃厚なハーモニーとソフトなサウンド、そして洒落たアレ

ンジなど、Soft Rock的な魅力が存分に詰まっておりますのでご紹介させて頂きます。

Rob McConnell

再結成されるまでのメンバーの活動

The Hi-Lo’sは、Rockの台頭と時代の変化を理由に1964年に解散します。先刻ご承知だと思

いますが、Gene PuerlingとDon Sheltonは2人のシンガーBonnie HermanとLen Dresslar

を加え4人組のジャズ系のコーラス・グループThe Singers Unlimitedを67年シカゴにて結成

します。71年作『A Capella』でデヴューして、その後コンスタントにアルバムを発表し、

1981年までの10年間に15枚のアルバムを残します。つまり、GeneとDonはバリバリに音楽

活動をしていた訳ですね。

  

Clark Burroughsは、Soft RockグループのThe AssociationのアレンジャーやThe Gordian

Knotのプロデューサー、さらにはMama CassやCaptain & Tennille、Elton Johnなどのア

ルバムでバッキング・ヴォーカルとして参加したりと、マルチな活躍で音楽活動を続けてお

られました。

ただ、Bob Morseに関しては骨董品と衣裳を扱う店の経営をしており、音楽業界からは全く

離れていました。恐らくそういった経緯に加えて、久しぶりに4人で顔を合わせることもあり

前もって1年前から練習を始めたのだと思います。



アルバム内容

今作は、両面5曲ずつの全10曲の収録です。従来と同様で、映画のヒット曲やジャズ・スタ

ンダードなどのカバー曲を中心とした構成になっています。解散から14年も経過してますが

、依然美しいヴォーカル・ハーモニーは健在で、本格派のモダン・ジャズを基本としながら

もThe Singers Unlimitedで培ったよりアカデミックでハイセンスなコーラス・アレンジを

披露しております。新生The Hi-Lo’sだけでなく、Rob McConnellの指揮による豪華なオー

ケストラも聴き応え十分です。両者の魅力が合わせて聴けるのも今作の醍醐味の一つと言え

るでしょう。以下。収録曲になります。

Side-A

1 「Seems Like Old Times」・・・C.Lombardo / Loneb

2 「When Sunny Gets Blue」・・・Segal / Fisher

3 「Life Is Just A Bowl Of Cherries」・・・Brown / Henderson

4 「I Remember You」・・・Schertzinger / Mercer

5 「My Funny Valentine」・・・Rodgers / Hart

Side-B

1 「Come Rain Or Come Shine」・・・Mercer / Arlen

2 「Everything Must Change」・・・B.Ighner

3 「Misty」・・・Garner / Burke

4 「Then I’ll Be Tired Of You」・・・Hargurd / Schwartz

5 「Georgia On My Mind」・・・H.Carmichael

1曲目「Seems Like Old Times」は、ミディアム・テンポのスウィンギンな1曲。洗練さ

れ、整ったコーラスにはゾクゾクきます。アカペラや後半のミュージカル仕立てのアレンジ

など、ファンなら思わずニヤリとさせられるハズ。続く「When Sunny Gets Blue」は、し

っとりと聴かすメロー・バラード。中盤Don Sheltonによる独唱があります。歌上手過ぎて

、トロけそうです。3曲目は56年作『Suddenly~』の名曲「Life Is Just ~」の再録版です

。従来ヴァージョンと比べると明らかに円熟味が増し洗練されています。後半のアレンジも

完全再現してくれていてd(>_< )Good!!

そして今作一番の聴き所となるのが、ボッサ・メローな「I Remember You」。この曲は

1942年のミュージカル映画「The Fleet’s In(艦隊入港)」の主題歌。ソフト且つ濃厚なハ

ーモニーで創り出す儚い雰囲気やBob Morseによる美声ソロなど、申し分ない出来でかなり

一押です。気になる方は下記視聴でチェック!!

5曲目「My Funny Valentine」は、「ドゥルドゥル♪」「タラララ♪」というヴォーカリー

ズ・コーラスが印象的な1曲。パッセージ系コーラスなど、らしくないスタイルですが浮遊感

漂う世界観がとても素敵です。

B面に移って冒頭の「Come Rain Or Come Shine」は、高速ビートで駆け巡る曲で、4声の

ユニゾンから広がりのあるオープン・ハーモニーを巧みに使い分け、演奏ではグイグイと攻

め込むブラス・セクションも相俟って、華やかなサウンドを披露してます。続く2曲目

は、The Anita Kerr Singersの名演でも知られる「Everything Must Change」。暗く美し

いメロディをロマンティックに歌い上げます。

3曲目はSoul Singerにもよくカバーされる「Misty」。The Hi-Lo’sはサンバ調のアレンジで

表現してますね。4曲目「Then I’ll Be Tired Of You」は、58年作『And All That Jazz』に

収録された「Then I’ll Be Tired Of You」の再録版。洗練された深みのあるハーモニーが胸

に沁みます。ラストを飾る「Georgia On My Mind」は、Ray Charlesのリヴァイバル・ヒ

ットで有名ですけど、Soft RockファンならやっぱりAlan Carvellヴァージョン!?

こちらは、エンディングにアカペラでバシッと決めてくれてます!

最後に

今作と同時進行で制作されたThe Singers Unlimited『With Rob McConnell And The Boss

Brass』についてはまた明日紹介します。