The Changing Scene 『S.T.』LP 1971年作

ソフト・ロックを代表する名盤がこちら。ソフロ本で度々紹介されてきましたので、聴いた

ことはなくても、名前は聞いたことがあるとか、ジャケは見たことあるという方は多いと

思います。あまりニッチ系に走らずに、初心者向けの作品も紹介して欲しい、というメッセ

ージを随分と前から頂いておりました。私的には、本に掲載済みのものは紹介しても意味が

ないと思っていたのですが、同時にUPする動画での試し聴きが購入の是非に大いに役立って

いるとのことでしたので、これからはこの手の定番ものも少しずつ紹介していこうかと考え

てます。

で、こちらは米・ニューヨーク出身の男性4人組のポップ・サイケグループ。Fontanaレーベ

ルからの1969年作のシングル『Sing Me Something Pretty』でデヴューを果たし、その後

2枚のシングルを発表してから唯一作である今作の制作に取り掛かります。

シングルについては後述しますので、とりあえずアルバムの内容について紹介します。

アルバム内容

今作はA面6曲B面5曲の計11曲収録されています。日本人が抱くSoft Rockサウンドにとても

近い作風になっています。サウンド的にはバブルガム~サイケ風の幻想的でカラフルな世界

観がアルバム全体を包み込んでおり、そこにキャッチーでフックの効いた甘美なメロディ、

美しいストリングスとフレッシュなハーモニーが見事に重なり合って、良質なSoft Rockサ

ウンドを体現してます。様々なスタイルで表現する実験的な作風であるにも関わらず、ここ

まで一つ一つの曲が高水準を保っているのは、ひとえに楽曲提供をした名コンポーザーの後

押しがあってのこと。

特に注目したいのはPeppermint Rainbowの『I Found Out I Was A Woman』を作曲した

Alan BernsteinとVictor Millrose。それぞれが卓越した作曲能力も持ち、数々の名曲を作曲

してきた彼らがタッグを組み、今作でのベスト・トラックでもある2曲を作曲してます。

どうやらこの2曲が原因(?)で、彼らがPeppermint Rainbowのフォロワーと呼称されている

らしいです。が、Peppermint系の曲はこの2曲だけなんだけどなぁ・・・?

で、他にもMark BarkanやTony Romeoなどの作曲家によるナンバーがあり、クレジットを

見るだけでもウキウキしてしまいます。では早速、曲の紹介に入りましょう!

以下、収録曲です。

Side-1

1 「Sweet And Sour」・・・Barkan / Milrose

2 「Color California Sunshine Blue」・・・Harold Logan

3 「I Can’t Get Sunday Out Of My Mind」・・・Burnstein / Milrose

4 「Learning How To Fly」・・・Kupersmith / Yaguda / Vance / Kaye

5 「Mama, Don’t You Wait Up For Me」・・・English Weiss

6 「Real Good Woman」・・・Tony Romeo

Side-2

1 「Children Of The Sun」・・・Burnstein / Milrose

2 「Thursday’s Child」・・・Roger Brenneisen

3 「Melody Of Love」・・・Harold Logan

4 「It Must Be Love」・・・Russel / Monzo

5 「Sit Down Lorraine」・・・Don Oriolo

メンバー

Tom May・・・Guitar、Vocals

Roger Brenner・・・Organ、Vocals

Joe Digrazia・・・Drums、Vocals

Lee Ognibene・・・Bass、10 String Guitar、Vocals




オープニングを飾るのはKeithで有名な「Sweet And Sour」。開口一番でこういったアッ

プ・テンポで爽快なナンバーがくると嬉しいですね。Keithヴァージョンと比べると、テンポ

も良く、爽やかコーラスもあるので、よりSoft Rock風でナイス・カバーになってます。

続く「Color California Sunshine Blue」はHarold Loganにより作曲。前奏なしでいきなり

の歌いだしで始まります。線の細いヴォーカルとそれに乗っかるふわふわしたコーラスが何

ともSoft Rock的。キャッチーなメロディも覚えやすくファン必聴です。そして3曲目はスピ

ード感・高揚感が抜群のメロディックなポップ・ソング「I Can’t Get Sunday Out Of My

Mind」。やはりBurnsteinとMilroseのコンビ作は秀逸ですね。そしてサイケ・ポップな

「Learning How To Fly」と爽やかポップ・バラード「Mama, Don’t You Wait Up For

Me」と続き、A面ラストを飾る「Real Good Woman」は、Tony Romeo作のサーフ系フラ

ワーポップなミディアムバラード。これも見逃せない1曲です。

B面に入ります。冒頭「Children Of The Sun」は、BurnsteinとMilroseのコンビ作による

今作の最大ハイライト。「I Can’t Get~」と同路線ですが高揚感やバブルガム感が数段とア

ップし、はち切れんばかりのキレキレなメロディが炸裂。グイグイと引っ張る溌剌としたヴ

ォーカルにも痺れます。

そしてサイケ・ポップ好きのゆいさん的に一押ししたいのが、2曲目の「Thursday’s

Child」。何とも不気味な雰囲気なのに、どこかノスタルジアに溢れた哀愁メロがとても美し

いサイケ・バラード。よく聴いてみるとシタール風(?)のギターやドラマチックなストリン

グスが、その雰囲気を余計に助長させているんですね。ステキな1曲です。

続く「Melody Of Love」はサイケ・ポップ風の幻想的な世界観が爆発した名曲。濃厚で爽や

かなコーラスが実に美しく、フラワー・ポップな甘いメロディも最高です。

4曲目「It Must Be Love」はソウルフルなコーラスで始まる1曲。今作では全く新しいタイ

プのポップ・ナンバー。そして注目したいのが、ラストを飾る「Sit Down Lorraine」。

今作のプロデューサーであるDon Orioloによるオリジナルで、エンジン音の様なファズ・ベ

ースが鳴り響く最高のサイケ・ナンバーなんです。Strawberry Alarm Clockを彷彿させるメ

ロディ・ラインはモロ受けが良さそうですが、後半の奇抜な展開も含め病み付きになりそ

う。

シングルについて

彼らはアルバム発表以前に3枚のシングルをリリースしています。

1969年9月『Sing Me Something Pretty / Sing Me Something Pretty

1969年11月『Is It Really Worth It / Sing Me Something Pretty

1970年『Sweet And Sour / Sweet And Sour』

赤字がLP未収の曲。見てお分かりの通り、2枚目のシングルをGetすれば良いわけですね。

どちらもLPのアレンジ・プロデュースを手掛けたDon Orioloによる作曲です。

楽曲内容

Is It Really Worth It

The Sunraysを彷彿させる甘く切ないメロディとThe Californiansの様な重層的なハーモニ

ーが最高のサーフ・バラード。何しろメロディが良いので、Aメロ~Bメロ→サビという繰り

返しだけでも十分に名曲なんですが、中盤からの開放感ある胸キュンの大サビ、そしてエン

ディングに掛けての濃密なコーラスの畳みかけなど、斜め上を行く展開にゆいさんもたじた

じ。The Beach BoysやHarmony Grass好きは要チェック!

※手持ちの盤が状態悪くて少々聴きづらいです、すみません。

Sing Me Something Pretty

こちらはA面の様な濃厚なコーラスはないものの、甘いメロディがステキなSoft Rockナンバ

ー。※こちらもノイズ酷いです。悪しからず。

最後に

ジャケはやや怪しげですけども、針を落とせば素敵なSoft Rockが流れてきます。メロディ

が良くとても聴き易いので、これからSoft Rockを聴き込みたい方には入りやすい作品かと

思います。是非シングルと合わせて購入してみてください!