Shirley Spencer『Sweet Sad Singer』LP 1978年作

1965年、米・アリゾナ州ツーソンでリーダー的先導者J. Blanton Belkによって設立された

非営利団体「Up With People」。取り巻く環境の変化に影響を受けやすい青少年達のために

、スポーツや音楽を通じ将来のより良い希望を築いてもらうために、そして信仰のメッセー

ジを発してそれが世界平和へと繋げていくことが彼らの掲げる目標でもあります。当初は

、現在程の大規模な団体ではありませんでしたが、不特定多数のエンターテイナー系ツアー

・グループというスタンスは今も昔も変わらず、各地で活動を行っています。

米・アリゾナ州グレンデール出身のShirley Spencerも、70年代後半に女性シンガーとして

この活動に参加しており、77年作『Up With People』では「Tomorrow’s A Picture」、

79年作『People Are The Energy』で「Someday’s Child」と、リード・ヴォーカルを務め

  

ました。それと並行して制作されたのが、今回紹介する彼女唯一のSolo Album『Sweet Sad

Singer』なのです。勿論「Up With People」の面々が作曲、演奏、プロデュースまで全面

的にバックアップしております。AORとカテゴライズさせて頂きましたが、全体的にはポッ

プなメロディと歌唱が目立つサウンドです。

Soft RockファンにはTony Macaulay作「That Same Old Feeling」の好カバーが収録され

てますので、Picketywitch好きも含め是非チェックして頂きたい作品です。

アルバム内容

今作は両面6曲ずつの全12曲収録。参加ミュージシャンによる楽曲提供が5曲ありまして、

3曲提供したFred Knipeは、Folk寄りのSolo Albumで「Roses And Stone」とタイトル曲

をセルフ・カバーしてます。このタイトル『Sweet Sad Singer』なんですが、ジャケット

の表裏で写るShirleyの表情が「Sweet」と「Sad」で表現されている気がするんです。この

ことから、これはもしかしてSoulによくありがちな片面ずつサウンドを二分するタイプのア

ルバムなのか?と思いきや、見てみるとそうではなかったのですがww、全体的に聴いてみま

すと甘いポップ・ソング(Sweet)とミディアム~スロー系のバラード(Sad)の2種類に大別さ

れていたので、大方予想もハズレてなかったみたいです。

以下、収録曲になります。

Side-1

1 「Dance With Me」・・・Ken Ashby

2 「Sweet Sad Singer」・・・Fred Knipe

3 「Reachin’ Out And Touchin’ You」・・・Manchester / Sager

4 「Am I A Fool」・・・Dave Drury

5 「Roses And Stone」・・・Fred Knipe

6 「Never Be Another For Me 」・・・Seals / Coley / McGee

Side-2

1 「That Same Old Feeling」・・・Macleod / Macauley

2 「One More To You」・・・Fred Knipe

3 「Easy Love」・・・Jerry Lee Chater / Kerry Chater

4 「Wrapped Up」・・・Ken Ashby / Bob Huff

5 「Only On The Radio」・・・Parker McGee

6 「Loving You」・・・Harvey Truitt




まず冒頭の「Dance With Me」が秀逸。彼女の端正なヴォーカルはポップ・ソングとの相性

が抜群に良く、こういったポップ・フィーリングに満ちた曲を歌わせたら本当に最高です。

AORファンにおススメですね。

続くタイトル曲は、とても丁寧に歌い上げるスウィート・バラード。良く伸びる歌声は一聴

の価値あり。3曲目に収録された甘口ポップ・ナンバー「Reachin’ Out And Touchin’ You」

は、Meslissa ManchesterとCarol Bayer Sagerの共作。サビでの高揚感に思わず胸が高ま

ります。そして個人的におススメなのが「Am I A Fool」。今作では異色の作風なオールド・

タイミー系のポップ・ソング。A~Bメロにかけては気怠そうなヴォーカルで、Cメロになる

とKate Bush風の独創的な展開に。ヴォーカルもそれとなく似せています。ホント最高で

す。続く「Roses And Stone」は胸を打たれる哀愁メロのバラード。穏やかなで優しさに包

まれた雰囲気に魅了されます。ラストはEngland Dan & John Ford Coleyのカバー。彼女の

ソフトでスウィートな歌声が爽快!ナイス・カバーです。

B面に移ります。Soft Rockファンお待ちかね、我らがPickettywitchのカバーで御座いま

す。底抜けにハッピーなメロディはいつ聴いても色褪せないですね。Shirleyの歌唱も

Polly Brownさんに負けずとも劣らないソウルフルな歌唱で歌い上げます。オリジナルと比

べるとディスコ調にアレンジされており、ダンス・ナンバーに生まれ変わってます。メリハ

リのあるリズムが心地良いです。2曲目「One More To You」は、打って変わってスロー・

バラード。甘く切ないメロディをタメの効いたヴォーカルで聴かせます。バラードでの感情

表現もなかなか。続く「Easy Love」はミディアム・ポップナンバー。若々しいエネルギッ

シュな歌唱も聴いていて清々しく、1:22秒からの大サビがメチャメチャカッコ良いです。

4曲目「Wrapped Up」という甘いバラードでは、今作唯一ファルセットで歌い切ってます。

5曲目「Only On The Radio」は、優美な雰囲気のポップ・バラード。そしてアルバムラス

トを飾るメロー・バラード「Loving You」でクール・ダウンして幕を閉じます。

今作は粒揃いの良質トラックが満載なので、かなりおススメです。特にポップ系がお好き

な方はハマると思います。興味のある方は、是非下記視聴をお試しください。

最後に

アリゾナの太田裕美と勝手に命名。歌声こそ似てませんが容姿や髪型が何となく。そういえ

ばスペイン移住計画はどうなったんだろう?