Paul Johnson Voices 『The Songs Of Dan Dirksen』LP 1975年作

アメリカの神学系大学における神学科と音楽学科の間では、常に派閥抗争があるというのが

通説だそうです。神父を目指していた神学科のPaul Johnsonとミュージシャンを夢見る音楽

学科のDan Dirksenの2人は、そんな学部間の争いなど歯牙にも掛けず仲良しでした。特に

DanはBurt Bacharachに、PaulはRalph Carmichaelに、という両者共々ソフロ直系趣向の

作曲家に傾倒していたことが、互いの友情に結びついたのではないでしょうか。このアルバ

ムが制作されることになったエピソードで、彼らの仲の良さが分かる話があります。

Dan Dirksen

アルバム制作のきっかけ

Paulはかつてから結婚式のBest Manになるのが悩みの種でした。自分は絶対やらないと友

人達には宣言していたそうです。これは、内気でシャイなPaulらしい一面ですね。

そんな彼が、Danと恋人Sharonとの結婚の際には、自身がBest Manになることを受け入れ

たそうです。本人は「ハワイだからまだ良かったんだ」とおっしゃってますが、優しい

Paulのことだから、きっと親友の誘いには断れなかったのでしょう。すると、ハワイでの

滞在中にDanがPaulにこんなことを言いました。

「自分が書き下ろしたゴスペル系の楽曲が幾つかあるんだけど、聴いてくれないか?」

全てを聴き終わったPaulは、何より、そのメロディの美しさ、そしてスピリチュアルな力強

い歌詞に感銘を受け、その場でアルバム制作の約束をしたそうです。しかもDanの曲を最大

限に引き出すための最強の布陣で、最高のクオリティでのレコーディングも保証しました。

全ては順調に進み、数か月後にはアルバムは完成。Dan夫妻は夢が叶ったことを確かめるた

めにレコーディング・スタジオのあるハリウッドまで赴いたそうです。

さぁ、そんな素敵な物語の元で制作された今作の内容をみてみましょう!

※ベストマン・・新郎に最も親しい人物が任命される。日本でいうところの仲人男性の役割

メンバーとコーラス・スタイル

1976年作の『Sons Of The Kingdom』と同じく、全14人のメンバーの大所帯から成るコー

ラス隊。以前紹介した『The Sure Foundation』や『What’s The Wayout』などの

  

Paul JohnsonのSolo Vocalが1曲丸ごと聴ける曲はなく、全曲重奏ハーモニーによる合唱

スタイル。曲によっては、第二章節から一人でのSoloパートを設けているものがありまし

て、だいたい平均すると20秒~30秒くらいのささやか程度です。皆さん良い声をしているの

で、ある意味そこが一番の聴き所でもあります。他にもナレーション入りの曲もあります

が、基本は合唱です。ですので、自分がこういった合唱スタイルが好きなのかどうかは、

是非視聴で確かめてみた方が良いかもしれません。

コーラス隊メンバーは以下の通り。

Sharalee Lucas Sue Allen Vangie Carmichael Suzy McCune

Linda Wheeler Mike Redman Jim Wheeler Paul Johnson

Freeman Clemente Dick Bolks Gene Merlino Tom Kenny

Bill Brown Bob Telow



アルバム内容

今作は、片面5曲ずつの計10曲収録されてます。タイトル通り、全曲Dan Dirksenが作詞作

曲のオリジナルになります。彼の作曲センスは不思議とPaul Johnsonと似ているんです。

アップテンポな曲もバラードも、人懐っこいメロディでとても覚えやすいというのが特徴

的ですね。若干シャッフル・リズムが多い気もしますが、無名のソング・ライターにして

は、かなり貢献した方ではないかと思います。以下、収録曲になります。

Side-1

1 「Jesus , The Hope Off All Mankind」・・・Trumpet Solo : Tom Holden

2 「Reach Out , Take The Hand Of Jesus」・・・Solo : Paul Johnson

3 「The Name Of Jesus」・・・Solo : Sharalee Lucas & Mike Redman

4 「Love Is Real」

5 「May The Lord Watch Over You」

Side-2

1 「Echoes Of Yesterday」・・・Narration : Bob Tebow

2 「The Shadow Of The Cross」・・・Solo : Mike Redman

3 「Give Jesus Your Life」・・・Solo : Paul Johnson

4 「Open My Eyes」・・・Solo : Sharalee Lucas

5 「Father , Lead Me Day By Day」・・・Narration : Bob Tebow

※裏ジャケには、SharaleeとMikeのSoloが4曲目「Love Is Real」になってますが、

これは間違いなく記載ミスで、正しくは上記の通り3曲目です。

本日の視聴

今回は「Soloパート」と「合唱パート」の2種に分けて動画を作成・編集してみました。

まず合唱の方ですが、こちらは男女が各パートを分け合ったり、掛け合いからパッセージ、

そしてユニゾン、ハモりと様々なアクセントをつけてリスナーに飽きさせないアレンジに

なっている点が聴き所。もちろん、そこはPaul Johnsonの手腕によるものですね。

そしてSoloパートは、Sharalee LucasとMike Redman、Paul Johnsonの3人。

  

Sharaleeは、高音部の発声に定評があり、地声なのかファルセットなのか見分けのつかない

ソプラノ系の歌声が最大の売りです。Mikeは、Paul Johnsonに似た美しいハイトーン・ヴ

ォイスの持ち主で、歌唱力も十分に備わってます。そして我らが愛するコーラス・リーダ

ーPaul Johnsonの歌声は、天性のメロー&ソフトな声質で、聴いているだけで幸せになれ

ます。

最後に

私は別にクリスチャンでも何でもないのですが、この種のコーラス物は心が洗われる気がし

て、たまに無性に聴きたくなったりします。目当ての曲を聴くというよりは、何となく流し

っぱなしにしてBGMとして聴きながら、その空気感に浸りたいんです。特にPaul Johnson

のコーラス・アレンジは好きなので、今後も他の作品をどんどん紹介していく予定です!