Louis Philippe 『Appointment With Venus』LP 1986年作

フランス・ノルマンディー出身のSSW、Philippe Auclairは1980年代の初頭に

The Border BoysやThe Arcadiansというバンドを経て、Soloミュージシャンへ移行。

名義をLouis Philippeと変え、レーベルもベルギーのCrepusculeから

élへ移り、満を持して制作さえたのが今作の1st Solo Album『Appointment With Venus』

このélというのは、ロンドンを本拠地とするイギリスのレーベルでして

Rock系に強いCherry Red RecordsのMike Alwayにより1984年に創設されました。

最初は独立したレーベルだったのですが、すぐにCherry Red Records傘下に

入り1989年に閉鎖されてしまいます。※2005年には再び復活

というのも、当時élに深く関心を集めていたのが、日本のニッチ・ポップのファンのみで

それ以外に全くと言って良いほど売り上げがなかったそうなんです。

この当時の5年という短い期間にリリースされた数々のAlbumに多大な影響を受けたのが

日本で一大ムーブメントにもなった渋谷系アーティスト達ですね。

そしてLouis Philippeは、そんな渋谷系の象徴的なサウンドを持ったアーティストとして

日本では知名度がかなり高く、今でも多くの方に愛聴されています。

   

、と前置きはそんな感じです。

Louis氏のデビュー作を紹介したかった理由は、他でもないその美しいメロディーが

あまりに華麗で幻想的だからです。フレンチポップ・シャンソンならではの

独特なセンス・テイストというのは、英・米では味わえない不思議な魅力があります。

        

そこにBrian Wilsonの遺伝子を受け継ぐ、哀愁を帯びたメロディと

「Surf’s Up」を想起させる美しいコーラス・ワークが組み合わさり、彼特有の

世界観を作り出しています。

まず、今作は両面合わせて全14曲収録されていて

全体的に、静かで暗いイメージが強く、その分ズームアップされるのは

やや鼻声気味のLouis氏のハイトーン・ヴォイス。そしてコーラスとメロディ。

1曲だけ、とても秀でた曲があるわけではないものの、唯一無二の世界観に引き込まれ

不思議な体験ができます。これも彼独自の感性の賜物と言っても間違いないでしょう。




少し掻い摘みながら、紹介していきましょう。

A面冒頭の「La Pluie Fait Des Claquettes」は、アカペラハーモニーで聴かせる

フレンチポップ特有のメロディを持った曲。

2曲目「Man Down The Stairs」5曲目「The orchard」は、

クラシカルな雰囲気の静かな曲。メロディがとても美しいです。

6曲目「Heaven is above my head」は後の「You Mary You」を一片を垣間見れる

ポップな曲。後半の間奏はモロBB5を意識してますね。

B面は1曲目「Touch of Evil」のボッサメロで幕を開け、

美しいメロディのバラードの2曲目「Ballad of Sophie Scholl」。そしてJellyfish風の

遊び心を堪能できるポップな「Angelica my love」。

そして、Brian Wilsonの魅力がギュウギュウに詰まった名曲「I Will」。

1分弱と短いながらも重厚な手応えがあり、

美しいハーモニーに浄化される様な感覚が何とも言えず魅惑的。

そして、彼の世界観が顕著に表れているのがB面の5曲目「Eldorado tales」。

恐ろしく静かな出だしから、メランコリックな甘いメロディのサビで開放され

後半はBrian Wilson直系の暗くも美しい息を呑むコーラス・ワークで締めくくる。

素晴らしい曲ですね。このような、キーポイントで当ててくる目を見張るコーラスが

このAlbumの中に散りばめられているので、そこを意識して聴いてみるのも面白いです。

Louis Philippeは、その名を轟かせた一番の有名曲というと「You Mary You」ですが

個人的には、この1st Albumを聴くことをおススメします。彼の作曲に対する美意識の

高さや影響を受けたサウンドが至る所で発見できて、リスナーを楽しませてくれます。

もし聴いたことがない方がいましたら、是非試してみてください!

Soft Rock好きなら、きっと気に入ると思いますよ。

ということで、また明日!