Judy Singh 『A Time For Love』LP 1970年作

カナダのアルバータ州の州都エドモントン出身のJudy Singhによる唯一のSolo Album。

彼女が初めて歌いだしたは、意外にも遅く17歳の頃からでした。

その後、ジャズ系シンガーとして地元を中心とした地域ラジオやテレビでの

出演を重ねておりました。そして、調度その時期に出会ったのが、

今後約40年に渡って交友関係を結ぶことになるTommy Banks。

本名Thomas Benjamin Banks

Tommy氏の助力の甲斐があって、彼女は世に素敵な作品を残すことになります。

今作の裏ジャケの彼の推薦文を見てみますと。

「Judyの歌声を聴いていると、まるで黄金のシャワーを浴びているかの様な心地になる」

と彼女特有のロリータ系ウィスパーヴォイスに絶賛の声を上げています。

今作品は1970年7月にCBCエドモントンでレコーディングされました。

制作にはTommy氏は勿論のこと、オーディオ・リミックスにIan Jacobson

レコーディング・エンジニアにGary Radcliffe

そして、Duncan McKercharがプロデューサーとして起用されています。

アルバムの内容

片面6曲ずつ計12曲収録されておりまして、カバー曲と

カナダの駆け出しの作曲家達による真新しい曲が半分ずつという構成です。

当時20歳のDavid FosterがSide-1の4曲目「Up And Down」と

Side-2の4曲目「Forever Waits Beyond」の2曲を作曲しており、彼の極初期作品として

AORファンには目玉の曲となってます。全体的にはあくまでをSoft Rockど真ん中をいく

ポップな作品群が散りばめられていますが、ジャズ寄りの曲やボサノヴァ風な曲もあり

飽きを感じさせず、Album通して楽しめる内容になっています。

このAlbumが幻の名盤と称されるのは、内容が良いということだけでなく

カナダのラジオ局CBCのプロモ・オンリーのレコードということと

↑CBC関連についての詳細はこちらから

前述した通りDavid Foster絡みの作品であることが相俟ってのことだと思います。

希少価値が高まり、随分と高値で売買されてます。

何かと話題のDavid Foster

Judy Singhの魅力

今作におけるJudyさんの最大の魅力は、ロリータ・ウィスパーヴォイスという歌唱法。

彼女の歌は、ステージ上ではお世辞にも上手いとは言えません。

というのも喉の奥から溢れる繊細で可憐なか弱い声なので、声を張ってパフォーマンス

するにはそりが合わないのです。声量の小ささと音域の狭さに難があり、逆に言えば

人から歌い方を教わっていれば、それらは技術でカバーできますので独学で学んだのでは、

と考えられます。スタジオでマイクに口をピタリと当てて歌うことで、その魅力が倍増し

その歌声と奇跡的にマッチする楽曲群の巡り合せで、今作の様な傑作Albumが

生まれたのだと私は思ってます。

おススメの曲

粒揃いの名曲群の中で、彼女の歌声が存分に堪能できる曲は

Side-1の4曲目「Up And Down」、5曲目「A Time For Love」。

Side-2の1曲目「Samba Del Sol」、2曲目「Song Under The Sun」の計4曲。

特に太陽のサンバと題された「Samba Del Sol」は今作で唯一、相棒Tommy Banksが

作曲した曲でもあり、完成度がかなり高い名曲に仕上がっております。

転調を繰り返す流れるような哀愁を帯びた甘いメロディは勿論のこと。Judyの一線を画する

神懸かりな歌唱法は正に極楽浄土。わざとワンテンポ遅らせ、キュートに、丁寧に歌い上げ

そして徹底されたヴィブラートと、その後に来る軽い息遣いの様な声の止め方(吐息)が

何ともセクシーです。どうぞご視聴ください!





↑アマゾンデジタルミュージックよりダウンロードできます。MP3派の方はどうぞ!

このAlbumの後の彼女の活動は

翌年1971年にCBCによるコンピレーションアルバム『Unselfconsciously Canadian』で

「My Name Is Love」「Emily」の2曲を披露しております。

内容はまずますといったところですが、この盤でしか聴けないのでコレクターには

必須アイテムですね。

※ちなみにDavid FosterやTommy Banks Orchestraも参加してますよ!

V.A. 『Unselfconsciously Canadian』

その後Tommy Banksとのデュエット「Tom & Judy」名義で『Make Someone Happy』

というAlbumをリリースします(年代不詳?)。

Tom & Judy 『Make Someone Happy』

そして80年以降は、バッキング・ヴォーカルとして下記の作品に参加しております。

1980年 Woody Shaw 『For Sure』

A面3曲目「Time Is Right」での作曲とリード・ヴォーカル担当。

B面1曲目「Why」ではスキャット・コーラスを披露しております。

と言っても、ささやか程度ですけどね。

1981年 Richard Stepp 『S.T.』

AOR名盤『Holiday In Hollywood』で知られるRichard Stepp。

ロスでの1st Albumリリース後に地元カナダに帰郷して、

制作されたのがこちらの2nd Album。Judyは主にBacking Vocalとして参加してます。

他には、下記の動画で見られるようにBig Bandをバックにシンガーとしての

活動を続けていたそうです。