The Johnny Cowell Orchestra & Chorus 『It’s Gotta Be Love』LP

カナダ産Soft Rock関連の作品を聴いていれば、嫌でも目にするのがJohnny Cowell氏。

  

彼は、6才の頃からトランペット奏者としてバンドでの演奏を始め、1952年から1991年の

約40年間はトロント交響楽団に在籍するという経歴を持つ根っからのミュージシャン。並行

してアレンジャーや作曲家としても活動を続けており、CTL界ではマルチな活躍ぶりでその

名を轟かせています。「好きこそ物の上手なれ」と言いますが、彼のソング・ライティング

に関しては、元々趣味の一端として始めたそうです。にも関わらず、計200曲以上も作曲し

ており、Andy Williamsを筆頭にAl Hirt Floyd、Cramer、The Lettermen、TriniLopez、

Gery & The Pacemakersなどに楽曲提供をし、中でも「Our Winter Love」はビルボード

でチャート9位を記録するなど、その非凡な才能を披露してます。今作は、そんな彼の作曲家

としての魅力に焦点を当てたアルバムです。

アルバム内容

今作は片面5曲ずつの全10曲の収録です。1曲のみ共作はありますが、全てJohnny氏が作曲

しておりましてコーラスからオーケストラまでも彼のアレンジによるもので、正に彼のリー

ダー作に相応しい内容になっておりますね。なお、コーラス隊が参加しており、ヴォーカル

&コーラスが聴けるのが4曲、歌詞なしのスキャット系コーラスが3曲、残りの3曲がインス

ト・ナンバーという構成になっております。

コーラスやサウンドに関して

詳細なクレジットがないため参加メンバーは不明です。年代が分かれば多少なりとも推測で

きるのですがリリース時期も記載されておりません。ただ、感じとしてはJohnny氏が楽曲提

供とアレンジを担当したThe Sycamore Street Singers ‎「Bright Down The Middle」に近

いソフトで爽やかなコーラス。サウンドも何となく60年代後期の香りもしますし、ひょっと

したら同布陣での制作かもしれませんね。どちらかと言えば、Johnny Burtが関わっている

ような高度で複雑なハーモニーやアレンジではなく、あくまで簡素な掛け合いとユニゾンを

軸にしたハモりを見せていくスタイルです。

楽曲に関しては、Johnny氏の作曲手法というのが、ホーンありきの楽曲構成になっているこ

とが多いです。例えば「For The Very First Time」「The City」「Niagara」を始めとする

楽曲群がそうですが、典型的なインスト・ナンバー向きの作風とも言えます。今作のハイラ

イトである冒頭のタイトル曲「It’s Gotta Be Love」もそうですよね。元はと言えばインス

トだった曲に彼が歌詞を付けてコーラス物にアレンジしたという成り行きがありまして、聴

いてみるといかにホーン・セクションに重点を置いているかがよく分かります。ということ

で、コーラス好きには少々物足りなさなど感じるかもしれませんね。まぁ、そんなことを踏

まえて聴いて頂ければ幸いです。以下収録曲になります。

※ちなみ、Johnny Cowell関連でコーラスに特化した作品と言えば、TheLaurie Bower

Singersとタッグを組んだ『Bridge Over Troubled Waters』。濃厚なハーモニーがお好き

な方はこちらをおススメします。

Side-1

1 「It’s Gotta Be Love

2 「Don’t Look Back

3 「High On Flagpole

4 「For What It’s Worth

5 「Antigua

Side-2

1 「Still Feeling Blue

2 「Like No Other Girl

3 「Valley Of The Six Hundred

4 「Anatomy Of A Girl

5 「Marcella



ゆいさんのおススメ

歌詞入りのタイトル曲「It’s Gotta Be Love」を聴けることが今作の一番の収穫でしょう!

トランペットのプレイやオーケストラ・アレンジも見事ですが、アップテンポで駆け上がる

メロディや透明感ある男女混声のコーラスが本当に素晴らしい。カナダ産Soft Rockの名曲

として絶対押さえておきたい1曲ですね。コーラス好きには必聴!

もう1曲はSide-1の3曲目「High On Flagpole」。こちらもタイトル曲と同タイプで、男女

混声コーラスにフューチャーした曲。天にまで駆け上る爽やかな重奏ハーモニーの美しさや

ソフト&クールなメロディにやられます。こちらも素通り厳禁な1曲ですね。

他にも南国Soft Rockな「Don’t Look Back」や、パッセージで聴かす綺麗なスキャットが楽

しめる「For What It’s Worth」と「Antigua」、個性的なメロディの「Valley Of The

Six Hundred」、Johnny氏のトランペット・プレイが冴え渡る「Still Feeling Blue」。

そしてアルバムの締めに最適な、華やぎのあるインスト・ナンバー 「Marcella」など、

とても充実した内容になっております。

最後に

ピンクのカーネーションとCarey Mulligan風の笑顔がステキな女性のジャケがとても印象的

ですけども、アルバム全体のサウンドもジャケ同様に華やかさに溢れています。少々レアで

入手し難いという難点はあるものの、内容・ジャケ共に良いと考えれば探してみる価値はあ

ると思います。 では、今日はこの辺で!