John Pantry 『The Long White Trail』LP 1973年作

幅広いSoft Rockというジャンルの中で、サイケ・ポップという分野に絞るとその存在感が

必然的に浮き彫りになるJohn Pantry。Soft Rockのど真ん中を行く秀逸な曲を残してきた彼

ですが、仕事に関わる方々にクリスチャンが多かったことから影響を受けて、自身も洗礼を

受け、70年代以降はCCM系のミュージシャンに転向。サイケ色がすっぽり取り除かれ、ポッ

プ・シンガー系のSolo Albumを残していきます。

本日ご紹介するこのアルバムは、オランダの作家兼画家のJan Cremerによるドキュメンタリ

ー映画のOST(オリジナル・サウンドトラック)になります。1972年作の1st Solo

Album『S.T.』に次ぐ実質の2nd Albumに当たるもので、タイトル曲の1曲だけ彼特有のサイ

ケ・ポップなエッセンスが詰まった佳曲が収録されており、ファンにとってはマストアイテ

ムになっています。今作は、The SeekersのKeith PotgerとJohn Pantryによる共同プロデ

ュースにより制作されてまして、Manfred MannのMike Hugを始め、英国SSWのPeter

SarstedtやDon Reedman、Neil Lancasterなどのソングライターによって書き下ろされた

楽曲群をJohn Pantryが歌うという構成になってます。約半数の曲がインストを占め、

RepriseからVocalを差替えただけの曲などを考慮すると、John Pantry目当てで購入した方

には聴き所は少なく、コレクターやマニア向けの1枚となっています。

映画の方は検索しても全くヒットしないので、どうやらかなりマイナーな作品だったらしい

ですね。ジャケのイメージや曲のタイトルから察するに、『広大な白銀の世界を巡る犬ぞり

に関するお話(?)』なのでしょうか?ちょっと見てみたいですが、Jan Cremerのホームペー

ジにも全く掲載されてないので、まさかのお蔵入りだったのかな?

詳細はよく分かりませんが、絵面的には楽曲と全然マッチしてない感じ・・。

裏ジャケに写る犬がとても可愛らしいので、犬ジャケ・コレクターの方なら喜びそうです

ね。そんな訳でサクッとアルバム紹介させて頂きます。

   



アルバム内容

今作は片面5曲ずつの全10曲収録されています。John Pantryも監督Janのためにテーマ曲を

1曲のみ作曲してますが、残念ながらインスト。他の曲の作曲者と収録曲については下記をご

参照ください。

Side-1

1 「Sad Song Without Words」・・・Neil Lancaster / Corbett

2 「Crystal Crossing」・・・Neil Lancaster

3 「Long White Trail」・・・Neil Lancaster / Corbett

4 「Lonely Dog」・・・Mike Hug

5 「Dog’s Days」・・・Mike Hug

Side-2

1 「Days Eternal Days」・・・Peter Sarstedt

2 「Lonely Dog (Vocal)」・・・Mike Hug

3 「Maybe Tonight」・・・Don Reedman / Pierre Belmonde

4 「Cremers Theme」・・・John Pantry / Nick Ryan

5 「Sad Song Without Words (Reprise)」・・・Neil Lancaster / Corbett

John Pantryが歌っているヴォーカル入りの曲だけピックアップして紹介します。まずは冒

頭の「Sad Song Without Words」。壮大なポップ・バラードといった趣きの曲です。決し

て上手くはないですが、英国人ぽいJohnの歌声はとても魅力的。悪くない出来です。B面ラ

ストに収録されたRepriseヴァージョンは、2分程にコンパクトにしたものです。

そして3曲目に収録されたMike Hug作の「Long White Trail」が今作のハイライト。John

Pantry以上にJohn Pantry風の作風になっていてPeter & The Wolvesの甘酸っぱいメロディ

を彷彿させる名曲。「Birthday」や「Lantern Light」辺りが好きな方は必聴。

5曲目「Dog’s Days」もMike Hugの作曲。こちらはRockyな曲で勝負してきましたね。これ

もJohnの一側面を見事に捉えているのではないでしょうか。この2人がタッグを組んでいた

ら良いアルバムが出来ていたかもしれませんね。

B面に移り1曲目「Days Eternal Days」はPeter Sarstedtによる作曲。カントリー寄りの明

るいポップ・ソング。一見シンプルでワンパターンな曲ですけども、やっぱりJohnに歌声な

のでしょうか。何度も聴いているうちにハマってきます。後半のコーラスもなんかもゴキゲ

ンで楽しい1曲です。続く「Lonely Dog (Vocal)」は、静かなスロー・バラード。オーケス

トラとピアノのみの伴奏で簡素な音作りです。何となく広大な風景を思わす曲ですね。可も

なく不可もなくといった印象。

最後に

Mark Wirtzと比肩できる「ポップ・マエストロ」と呼ばれるJohn Pantryさんですが、今作

では彼の歌声の魅力が再確認できましたね。

タイトル曲「Long White Trail」だけでも「買い」の1枚です。犬好きなら尚更。