Hudson 『Straight Up & Tall / America / Fight Back』EP 1973年作

ジャケットで仲良さそうに写っているのは、アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド出身の

Bill、Mark、BrettのHudson3兄弟。The Hudson Brothers名義での「So You Are a Star」

でご存知の方も多いはずです。彼らのサウンドの特色と言えば、The Beatles直系の

メロディと3兄弟から成る美しいコーラス・ワークですね。人気が沸騰した1970年代の

中期頃には、Badfingerを彷彿させる優れた作曲センスや印象深いギターリフなどから

前衛的なPower Pop系のアーティストとして見られる節もありますが、Mark Hudsonの

甘いハイトーン・ヴォイスや「Lonely School Year」などに代表されるSoftなサウンド

からは、むしろSoft Rockファン向きと言えます。

彼ら3人でのミュージシャンとしての活動は、1965年から1981年までの16年間と、

意外にも息が長いですね。自動車メーカー・クライスラーのモデルから名付けられた

The New Yorkersから始まり、Everyday Hudson、Hudson、

そしてThe Hudson Brothersへ。さらにRockへの原点回帰も込めて再びHudsonに、

と何度も名義を変えてきました。

今回紹介するEP盤は、1971年~1973年の約2年間に渡って7枚のEP盤と

1枚のLP盤を残した、彼らの第一次Hudson名義での一枚です。

ややこしいのが、同ジャケットでA面だけ差し換えたものもあります。

つまり「Straight Up & Tall 」が「If You Really Need Me」へと変わっている

ヴァージョンもあるのです(B面の2曲はそのまま)。↓↓下記参照↓↓↓↓

※ちなみに今作のレーベル「The Rocket Record Company」は、

Elton Johnが設立したレーベルです。

   

さて、彼らのストーリーを事細かに解説していると日が暮れそうなのでww

今回は、初めて知る方のために軽いメンバー紹介と楽曲紹介だけに留めておきます。

今後、アルバムやSoft Rockファンには見逃せないシングルなども追って記事にして

いきますので、その際に少しずつ彼らのエピソードなども交えて紹介します。

それでは、上記ジャケットの左から順に人物紹介に参りましょう!

3兄弟の人物紹介

Mark Hudson

まず、一番左のMark Jeffery Hudsonは1951年8月23日生まれの次男で、兄弟のなかでは

最も秀でた音楽の才能を持ちわせた人物。全般的な演奏から作曲まで彼が行っています。

音楽性にかけては、実質彼のワンマンバンドとも言えるでしょう。

The Hudson Brothers解散の1981年以降は専ら音楽活動を続けています。

Ringo StarrやOzzy Osbourne、Cher、Aerosmithなどとも交友が深く、

ミュージシャンとしての(特にプロデューサー・作曲家として)才能に定評もあり、

5人目のThe Beatlesは、Jeff Lynneではなく「Mark Hudsonだ!」との声も上がるほど。

私も個人的に彼の大ファンで、後年の彼の2枚のSolo Albumは直筆サイン入りで

頂きました(失くした・・ ∑(゚□゚;)ガーン)。何度か熱烈な賛美を浴びせたメールを送って

みたところ、カラフルな口ひげからは想像も出来ない程に謙虚で丁寧な返事でした。

Brett Hudson

真ん中のイケメン担当のBrett Stuart Hudsonは、1953年1月18日生まれの三男坊。

兄Billがバンドを結成した際に、あまりに若すぎてお荷物だと言われ加入拒否されるも

70年代にはティーンアイドル誌に彼の写真が掲載されるなど、彼のアイドル性が

物を言わせて人気グループまで成り上がった経緯を踏まえると、貢献度はかなり高い。

担当はベースとたまにリード・ヴォーカルを取ったりしています。

The Hudson Brothers解散の1981年以降はTVプロデューサーやライター、そして

Markの音楽活動にも参加したりして活動しています。

Bill Hudson

William Hudsonは、1949年10月17日生まれの長男。バンドでは主に経営面で、いわゆる

エグゼクティブ・マネージメントを任せられていました。楽器担当はGuitar。Brettと

同じく、たまにリードで唄うことも。Soft Rockファンからは、

Goldie Hawn経由で知ってる方も多いでしょう。Lenny WaronkerとNick DeCaroの

バーバンク・サウンドを支えた中心人物によって制作された『Goldie』が有名ですよね。

Goldie Hawn 『Goldie』

Billは、この美人女優Goldie Hawnと結婚してKateとOliverの2人の子供を授かりますが、

2年後に破局。Goldieが親権を獲得します。娘のKate Hudsonはハリウッド女優として

ビッグネームですよね。ちなみ実兄のOliverも俳優。

   

The Hudson Brothers解散の1981年以降は、テレビドラマや映画などに俳優さんとして

活動します。



今作(EP盤)を紹介する理由

私は、The Hudson Brothersのファンとして漏れがなければ全音源を網羅しましたが、

第一次Hudson期におけるSoft Rock系の作品が特に素晴らしく、他ではあまり

取り上げられているところを見たことないので紹介するに至りました。

楽曲紹介

この盤に収録されているA面の「Straight Up & Tall」は、翌年1974年にリリースされる

『Totally Out Of Control』に収録されている曲です。ハード目のRockサウンドが印象的の

カッコよい曲です。70年代中期における彼らのサウンドは、基本的に甘いメロディの

Badfinger風ギター・ポップ系と言えますが、たまにこの手のRockで攻めるハード志向の

曲もあります。そしてB面の2曲がアルバム未収の曲になります。「Fight Back」に

関しては、アコギが気持ち良いネオアコ系アップテンポなロック・ナンバーです。

上記のアルバムに収録されていても違和感ない出来ですね。

さぁ、もう1曲の「America」が今回の最大の目玉。全Soft Rockファンに激しく

おススメしたい大名曲。視聴と合わせて説明しましょう!

Soft Rock史に残る大名曲

この曲以上にSoft Rockという言葉に相応しい曲が、正直見当たらないです。

賛否両論があると思いますけども、私個人としてはSoft Rockというジャンルにおいて

究極の完成形とも言えるのがこの曲です。コーラス、メロディ、サウンド。

この3点に加え、他にはない斬新なアイデアとステレオ効果を駆使した音作り、前半の

静かな始まりから後半へのドラマチックな展開。そして徹底したSoftな感触が、今でも

私の心を捕らえて離さないのです。

曲の幕開けの静かに始まるアコギ。そこへMarkの優しい甘い歌声が入り

爽やかで美しいメロディがコーラスと共に徐々に盛り上がり、最高のタイミングで

フルートが挿入されます。その後一旦Aメロに戻らず、すぐにBメロへと展開して

休む暇なく後半へ向けて美しいメロディが流れていきます。

特筆すべきは、コーラスのステレオ効果でしょうか。中盤から後半にかけて左右に

ぐるり回るようにコーラスが渦を巻いていきます。ヘッドホンやイヤホンだと

左右の音の違いがはっきりと見て取れますので面白いです。これにより臨場感が増し

その場で演奏を聴いているような感覚になり、深みのあるサウンドが体験できます。

さらに興味深い点は、後半のMark氏によるハミング・コーラス。彼が2009年に発表した

Solo Album『The Artist』に収録された「All The Tea In China」(弟BrettがBassで参加)の

同じく後半のハミングとリンクしているんです。これには思わずニヤリとさせられます。

聴き比べてみると「おぉ!」と驚きますよ!狙ってやってのかは不明ですけどねww。

少し長くなってしまいましたが、このオリジナリティに満ち溢れた至宝的傑作シングルは

必聴物です。特段希少価値の高いものでもないので、まだ未入手の方は是非!