Franklin Micare 『S.T.』LP 1978年作

米・ニューヨーク州アルバニー出身のSSWによる名盤。

New Yorkのレーベル「Private Stock」からのリリースされたもので、

米のジャズ~R&B界隈の名プロデューサーで自身のレーベルも持つJoel Dornが

今作のプロデュースを担当してます。

生い立ち~現在まで

アルバニーのスリンガーランズという地で育った彼は、幼少期から音楽を愛し

ラジオから流れてくる音楽に合わせて歌うのが好きだったそうです。

そんな音楽好きが高じてドラムを始めますが、The Beatlesを聴いてからは

すぐにギターに切り替えてプレイを楽しんだとのことです。

学生時代に、彼は自分にとっては音楽以上にものは無く、自分の好きなことへの道に

進むことを決意して、グリニッチ・ヴィレッジへ引っ越して

そこで多くのクラブで無名のフォークやロック系のミュージシャンと共に

一緒にプレイして過ごす。そして、何とか今作のThe Private Stockレーベルとの契約に

至り、アルバム制作が可能になりました。後年はコロンビアに移り住み

音楽活動しつつ、自身の時計屋さんを経営しているそうです。

アルバムの内容とサウンド

今作は、片面5曲ずつ計10曲収録されておりまして、以下の2曲以外は

Franklin自身のオリジナル作品になってます。

A-5「I Can’t Help Myself」 The Four Tops

B-5「Mack The Knife」 Kurt Julian Weill

大半を占める彼のオリジナルソングは、単調な繰り返しの曲が多いので

そこが好みの別れ所かと思いますが、それをカバー出来るのは、やはり彼の歌声と歌唱力。

ラストの「Mack The Knife」で聴けるように、クラブでの度重なるセッションを

繰り返しこなしてきたその努力が、余裕のある歌唱力に結びついたのでしょう。

歌の上手さだけでなく、甘いハイトーン・ヴォイスという声質に加え、

喉の奥から発声される深みのある’’声’’そのものに魅力があります。

そして肝心のサウンドは、バックに一流のセッション・ミュージシャンを

配されたことから洗練されたシティポップ系のアルバムになっておりますが、

AORよりはどちらかというと甘いポップチューンが多いので、個人的には

ポップ・ヴォーカルという呼称が一番しっくりきます。例えば、A面「Nobody」

「Delectable」「I Can’t Help Myself」とB面「Instant Electricity」の同趣向の4曲は

The Holliesを彷彿させる、はち切れんばかりのアップテンポのポップ・ソングで、

聴いているだけで楽しくなります。

他の曲は、オールドタイミーなジャズ「Hot Jazz」やRock系「The Feelin’ Of Love」

ラテン・アメリカの要素を含んだトロピカル・ポップな「Rhythm」など

色彩豊かなトラックが楽しめて、ただのポップ・アルバムでは終わらせない工夫もあります。



おススメの曲は?

A-3曲目「If You Love Me , Love Me Right」。

Franklin氏の甘い歌声が堪能できる、感動的なメローバラード。前奏なく始まる

静かな出だしから、盛り上がってくるサビまでとにかく本当にメロディが美しく、

ついついヘビープレイしてしまいますww ただ、先ほど述べた通り彼の書く曲は単調で

Cメロ(サビ)の繰り返しが多いのですが、暖かく包み込むようなジェントル・ヴォイスと

その並外れたその歌唱力でそんなことは忘れさせてくれます。ホーンセクションや

印象的なコンガの音、そしてサビの盛り上げに一役買っているオーケストラなどバックも

上手く引き立てています。わずか3分とは思えない程ドラマチックで壮大な名バラード!

「So Nice」

やっぱり”声”ですね。喉の奥の方から出されるハイトーン・ヴォイスが

余計に高級感ある作風にしています。前述した4曲の同系統ポップ・ソングとは

アプローチの仕方が明らかに異なり、磨き上げられたサウンドメイクはむしろAOR寄り。

一度聴いたら、つい口ずさみたくなる覚えやすいメロディは最高です!

↓↓是非、視聴でお試しあれ↓↓