Ed Legare 『Smiles』LP 1984年作

音をよく外したりリズム感が怪しかったりするのに、何故だか味がある歌声で魅力的に感じ

る歌手っていますよね。俗にいう「ヘタウマ」のことです。私は音が合っていないと気にな

るタイプなので基本苦手なんですが、個人的に好きな歌声のRon Furr、Flower、David

Grahame辺りは例外。今回紹介するフロリダ州ブロンソン出身のSSW、Ed Legareさんも

同タイプの方です。このアルバムは自主制作盤のレアもので、海外では専ら人気の1枚として

知られてますが、出品されていると『Private Soft Rock~AOR・・・』とタイトルに書か

れていたりして「84年作でソフトロック!?これは気になるなぁ」と思い購入。予想してい

た通り、やはり海外の人とのSoft Rockの解釈には隔たりがありましたけども、1曲だけ何気

にSoft Rock寄りの曲がありましたので収穫はありでした。その曲に加えて、何故「ヘタ

ウマ」なヴォーカルなのに人気盤なのか?を解説していきます。e-bayなどでたまに出品さ

れてますが、買うかどうか迷っている間に売り切れてしまう可能性が高いので、ここでじっ

くり吟味して頂ければと思います。

アルバム内容

今作はA面5曲、B面4曲の全9曲の収録。SSWということで全曲本人によるオリジナル・ソン

グ。自分でも歌えそうに難易度を低めに設定して作曲してます。Edさんは気怠そうな歌い方

をしており、音域は狭く基本は地声のみ。歌声は決してキレイではなく、もちろん歌唱力も

高くはないのですが、どういう訳かメロディアスでグルーヴ感のあるサウンドに不思議とマ

ッチしています。全体を通して聴いてみますと、コーラスの効いたキャッチーで甘めのメロ

ディの曲と、ジャジーな演奏を含むRockな曲が大半を占めていて、特にRockの中にJazzを

取り入れたサウンドはスリリングで聴き応えがあります。両者はブレンドされている様で上

手く切り離されて表現しているので、Fusionというのには若干抵抗がある感じ。コーラスや

メロディ、そして演奏などに十分魅力があるためにヴォーカルの良し悪しがさほど気になら

ないのです。それに加えて、何度も聴き返しているうちにあの独特な歌声の「Ed World」に

ハマってしまうんです。これは筆舌にし難いので、是非下記視聴でお試しして頂きたい。

以下、収録曲になります。

Side-1

1 「Smiles」

2 「Tears」

3 「You Brought Me Home」

4 「Feeling You」

5 「Billy」

Side-2

1 「Suzanne (No Can Cares)」

2 「Stay Inside The Feeling」

3 「The Whitest Dove」

4 「Special Friend Of Mine」




まずタイトル曲「Smiles」は、とてもキャッチーなポップ・ソング。息の合ったバッキン

グ・コーラスが大変心地良く、中盤からパパパ・コーラスまで登場したりとSoft Rockファ

ンにも楽しめそうな1曲。間奏のピアノもおしゃれで素敵。

2曲目は、暗く静かなでややフォーキー・サイケな香り漂う「Tears」。こちらもピアノの音

色が印象的で美しいです。続く「You Brought Me Home」はロック調のポップ・ナンバ

ー。ややヴォーカルに難はありますが聴き易いメロディはなかなか。一気にジャズになる間

奏部分はとてもスリリングです。今作唯一のバラードとなった4曲目「Feeling You」は、オ

ーソドックスではあるものの、メローで情感豊かなに歌唱は悪くなく意外とイケます。A面

ラスト「Billy」はかなりジャジーな1曲。饒舌にして重厚なベース・ラインやシャープにリ

ズムを刻むドラミング、転がるピアノなど大人な演奏を聴かせてくれます。

B面に移りましょう。オープニングを飾る「Suzanne (No Can Cares)」は、AORファンが

気に入りそうな曲ですね。面白いのが間奏のギター・ソロ。前半はAOR風に、後半はジャズ

風に、と分けてソロが入る構成になっています。とにかくグルーヴィーなリズムがたまらな

く良く、他では味わえない刺激的なサウンドが病み付きになりそう。おススメです。

2曲目「Stay Inside The Feeling」はA面にも収録されていたポップ路線の曲。80年代にあ

りがちな曲調というか、Steve Perryに仰々しく歌わせたら流行ってたかもしれませんね。

ちょっとEdさんの歌唱では物足りない感じ。続く「The Whitest Dove」は適度にジャズを

取り入れたロック・ナンバー。演奏中心の曲で、やたらと長いギター・ソロにはちょいと辟

易します。でも演奏してる本人達は楽しいんでしょう。私もバンドでベースを弾いていた時

期もあり、こういった渋めのロックは演奏していて楽しかった覚えがあります。

極めつけなのがアルバムラストの「Special Friend Of Mine」。ダサいんだかカッコ良いん

だかよく分からないこのラフな感覚、何なんでしょう。ただ、このグルーヴ感は頭で考える

よりも先に、自然と体が反応するはず。めちゃくちゃなコーラスや、全然クールじゃないヴ

ォーカルが何故だか心地良い不思議な1曲。

ということで、アルバム全体のMixとSoft Rockファンにはタイトル曲「Smiles」を用意しま

したのでどうぞ下記にてご視聴ください!

最後に

「ヘタウマ」「おやじ」「B級感丸出し」と全くそそられないませんが、聴いてビックリ!

ありきたりな作品に飽きてしまったそこのあなた!これを聴いてみよう!