Chuck Girard 『Glow In The Dark』LP 1976年作

アメリカはLos Angeles生まれCalifornia育ちのSSW、Chuck Girardは、Brian Wilsonが作

曲・プロデュースした名曲「I Do」で知られるThe CastellsやThe Beach Boysのカバー

Little Honda」がビルボード最高9位を記録したThe Hondellsのリード・ヴォーカリスト

であり、さらにCCM系ロック・バンドLove Songを結成し、自身もCCMのパイオニアの一

人として活動していったミュージシャン。

  

Soft RockファンからはThe Hondellsの「Just One More Chance」や「Kissin’ My Life

Away」が人気だと思いますが、恐らくこのブログを読んでくださる方々はBrian Wilsonや

Gary Usher絡みの重要人物だと熟知していらっしゃると思いますので、ここでは敢えて触れ

ずにおきます。さぁ、そんな彼の作品を一通り聴いてみて、個人的に推薦したいのが今回紹

介する2nd Solo Album。全編通して響き渡る濃厚でフレッシュなハーモニーは、蒸し暑いこ

の時期には最適です。多くのバック陣に支えられながらも、全曲作詞作曲、ピアノ演奏、そ

して一人多重録音によるコーラス・ハーモニーなどをこなし、意欲的な姿勢が見受けられる

今作は、1曲1曲がとても充実した内容になっているためSoft Rockファンのみならず多くの

方が楽しめると思います。特にWest Coast Rock色の強いA面は、驚異的なトラックが立

ち並び、その筋の方々は必聴と言えます。

アルバム内容

今作はA面6曲、B面に4曲の計10曲が収録されています。前述した通り全てChuck Girardの

オリジナルですが、内容は非常にバラエティに富んでいてアカペラ・カントリー・ウエスト

コースト・ブルースなど様々。その類い稀な作曲センスの良さも然ることながら楽曲に合わ

せた歌唱表現も素晴らしく、和み系の少し鼻に掛かった地声と透き通った高音ヴォイスを上

手く使い分けた器用な一面も魅せています。そして爽やかなコーラスの原因になっている

Adrian Bakerに近い質感を兼ね備えたファルセット・ヴォイスも聴き応えがあります。

例えばThe Castells時代にカバーしたThe Four Seasonsの「An Angel Cried」でも見て取

れますが、今作ではその特性がさらに顕著になっているのです。是非、そこを注目して聴い

て頂けたらと思います。以下収録曲になります。

Side-1

1 「Anthem」

2 「Callin’ You」

3 「I Remember」

4 「Return」

5 「I Know A Lady」

6 「No,No You’re Not Afraid」

Side-2

1 「Somethin’ Supernatural」

2 「When I Was Ready To Listen」

3 「So Thankful」

4 「Old Dan Cotton」




冒頭「Anthem」は、Chuck Girardの一人多重録音によるアカペラ・ソング。幾重にも重な

っていく凝ったコーラス・ワークは鳥肌モノ。「パパパ」だけで、これ程までに聴き惚れて

しまう曲もそうそうないでしょう。たった1分の曲ですが、あっという間に過ぎ去っていきま

す。正にコーラスのマジック!素晴らしいです。

2曲目「Callin’ You」はWest Coast Rock好き必聴の名曲。この曲で魅せるコーラス・ハー

モニーの爽やかさは尋常じゃなく美しく、2分辺り~のラララ・コーラスの気持ち良さは格

別。夏向けの1曲としておススメです。

3曲目「I Remember」は、Little Rive Bandの「Happy Anniversary」を思わせるカッコ良

いロック・ナンバー。サビではリズムをワン・テンポ遅らせて、メロディックに聴かせる展

開が爽快で心地良いですね。続く「Return」はミディアム・テンポのWest Coast Rock。ス

ティール・ギターのまったり感溢れる響きが最高。軽快なリズム、フレッシュなコーラス、

聴き易いメロディなど、この曲でも爽やかさは全快です。5曲目「I Know A Lady」は美しい

メロディが印象的なスロー・バラード。その美しい歌声でメロディを丁寧に紡ぎ、木霊する

凝った反響コーラスが全体を包み込み、至福の時を迎えます。正に曲の神髄を余すことなく

捉えた紛れもない名曲でしょう。そしてラストの「No,No You’re Not Afraid」は、幼児に聴

かせてあげたい子守歌風のメロー・バラード。ここでもメロディ・コーラスの美しさを存分

に堪能できます。それにしても名曲揃いのA面は秀逸過ぎる・・脱帽です。

B面に入ります。1曲目「Somethin’ Supernatural」は3コードのブルース系ロック・ナンバ

ー。こういった曲でもしっかりとコーラスを被せてます。続く2曲目は5分を超える壮大にし

てドラマチックな大作。前半はストリングスを盛り込み、濃厚コーラスとハード目な歌唱で

展開していき、後半になると一転して静まり返り、ピアノとオーケストラのみの伴奏で美し

いメロディが流れます。甘いヴォーカルとコーラスに酔いしれて感動的に幕を閉じます。そ

して、CCM系のスピリチュアル・バラード「So Thankful」、ラストのカントリー・バラー

ド「Old Dan Cotton」と、スロー・ナンバーが続いてアルバムは終わります。どちらもメロ

ディが良いので聴き入ってしまいます。

コーラスを主体としたMix動画を作成しましたので、是非ご視聴ください。

最後に

「Return」や「I Remember」、「Something Supernatural」など、キリスト教徒が向き

合うべき問題をテーマにした、いわゆるCCM系ならではのストレートに訴えかける歌詞もあ

りますが、全てがそうではないので、宗教音楽が苦手な方でも楽しめるかも。