Bob Azzam & The Great Expectations 『S.T.』LP 1970

Bob AzzamのSoft Rock系作品と言ったら、間違いなくこれでしょう!DJ向きのスキャッ

ト・グルーヴの最高峰とも言われる「Let’s celebrate」を収録した『Garden Of Love』も

 

捨てがたいですが、全編通してポップ路線で爽やかなコーラスが聴けるのが、今回紹介する

Bob Azzam & The Great Expectations名義の第2作目。1970年4月にフランス・パリで

レコーディングされた今作は、まだ一般的な認知度は低いものの、事情通の間ではその

内容の良さに絶賛の声が上がっているとか。アルバム紹介の前に、Bob Azzam氏について

軽くご紹介します!

Bob Azzamさんについて

  

Bob Azzamというステージ・ネームで知られる本名Wadie George Azzamは、エジプト・

カイロ出身のSSW兼バンドリーダー。1960年に、世界的ヒットしたエジプト系ポップ・

ソング「Mustafa」でご存知の方も多いはず。第二次世界大戦後に、サウジアラビアの

宮殿工事の事業に着手するも長くは続かず、音楽家への転身を決意。1950年代後期に

イタリアを中心に音楽活動を開始します。1958年にフランスの「Disques Festival

Records」からレコード・デビューを果たし、1960年に前述した「Mustafa」の大ヒットの

 楽曲はこちらから→→【Bob Azzam – Mustapha

おかげで一躍売れっ子ミュージシャンの仲間入りに。その後は自身のバンドやオーケストラ

を従えて、フランスやスウェーデンなど欧州を中心に各国でキャリアを積んでいきます。

スイスのジュネーヴに自身のナイト・クラブを開業させたりと、とにかく活動的。

そんな野心溢れる彼の行動は、音楽のサウンドにも表れていて、エジプト系アラブ民謡や、

イージーリスニング、ドゥーワップ、ジャズ、ラテン系インスト、フロアユースなグルー

ヴィー・チューン、そして今作の様なコーラス・ハーモニーを盛り込んだSoft Rock系

など、正に多芸多才という活躍ぶりです。本盤は、そんな彼のコーラスに重点を置いた

アルバムです。気になる方は、下記にMix動画を用意しておりますので、是非視聴だけでも

してみてください!

アルバム内容

本盤は、片面5曲ずつの計10曲の収録になってます。Bob Azzamによるオリジナルが4曲、

それ以外の6曲がカバー曲という構成です。カバーは、英国の作曲コンビGeoff Stephens

&Les Reedによる楽曲を3曲、The Beatlesが2曲、そしてThe Lovin’ Spoonfulが1曲に

なってます。オリジナルはBob単独のものから、今作でアレンジを務めるHugo Herediaとの

共作などがあります。以下収録曲です。ご参照ください。

Side-A

1 「Jenny Take Your Time」・・・Geoff Stephens / Les Reed

2 「Because」・・・The Beatles

3 「Super Air Survice」・・・Bob Azzam

4 「Rain Of Love」・・・Geoff Stephens / Les Reed

5 「Tears Go By」・・・Bob Azzam / Hugo Heredia

Side-B

1 「Summer In The City」・・・The Lovin’ Spoonful

2 「A New World」・・・Bob Azzam / L.Gaste

3 「Your Mother Should Know」・・・The Beatles

4 「Villa D’Amour」・・・Geoff Stephens / Les Reed

5 「Gotta Do It For Me」・・・Bob Azzam



コーラスについて

Bob Azzamはとても歌が上手いんです!声量もたっぷりあり、どちらかと言えば大衆向け

シンガーの様な歌声を持っている上に、声質的にはソフロ向きとは言い難いんです。ただし

そこにソフトなサウンドとSoft Rock直系と言えるメロディを持った楽曲群、そして彼が

率いた男性6人のメンバーから成るThe Great Expectationsによる一糸乱れぬコーラスが

加わることで、爽やかなSoft Rockサウンドが生まれているのです。その特徴的なコーラス

は、基本的にはほとんどファルセットによるもので、どちらかと言えばHarpers Bizarre

みたく風当たりの良いフワッとした感触ですが、その高度で質の良いコーラス・ワークは、

The Beatlesのカバー「Because」を聴けば一目瞭然です。

楽曲について

全般的にポップな楽曲が並ぶ、粒ぞろいのアルバムという印象があります。まず、60’sの

香りがプンプンするGeoff Stephens&Les Reedによるナンバーが、良い味を出していま

  

すね。The Searchersが演りそうな「Jenny Take Your Time」や、甘いスロー・バラード

「Rain Of Love」、そしてBobの伸びやかなヴォーカルが楽しめるキャッチーな

「Villa D’Amour」などが素晴らしいです。彼らの書いた曲は人懐っこいメロディを持った

曲が多いですよね。例えば、Herman’s Hermits「There’s A Kind Of Hush」

The Bachelors「Learn To Live Without You」Malcolm Roberts「Lovingly」

Ron Lowry「Oh How I Waited」Pickettywitch 「Baby I Won’t Let You Down」

The Applejacks 「Tell Me When」・・・・・などなど。今作収録された3曲も内容が

良いです。そして他の楽曲についてですが、Bob AzzamのオリジナルによるA-5曲目

「Tears Go By」も最高ですね。濃厚なハーモニーと、ブンブンと唸る饒舌なベースが

気持ち良く、エキゾチックで東洋的な旋律が胸を突く素晴らしいグルーヴィ・バラードで

す。他にもオリジナルとは異なった印象を受けるThe Lovin’ Spoonfulのカバー「Summer

In The City」。こちらも濃厚コーラスを伴うグルーヴィーなアレンジでヤラレます。後半の

ジャジーでスリリングな展開が何とも。そうした中、特筆すべきなのはThe Beatlesの

「Because」と「Your Mother Should Know」の絶品カバー。格調高いコーラスは何度

聴いても心に沁みます。これらの曲をまとめた視聴用Mixを作成しましたので、

以下でどうぞご視聴ください!

 ゆいさんのおススメ

信じられない程のSoft Rock感覚に満ち溢れているのがA-3「Super Air Service」。

ワクワクするメロディ、ソフトで弱々しくふわふわしたサウンド、そしてコーラスは

清々しく爽快感抜群!手数の多いコンガや不思議なサウンド・エフェクトを多用し

唯一無二の世界観を見事に作り上げてます。Bob AzzaによるSoft Rock的解釈が見て取れる

会心作!必聴です!

最後に

私の調査によると、Bob Azzamさんによる今作と同趣向のSoft Rock系の作品は他に見当た

りませんでした。しかしながら、他にもおススメ作品はありますので、次回をお楽しみに!