Bob Azzam 『Garden Of Love』LP 1971年作

欧州を中心に各国でキャリアを積んできたエジプト出身の名コンポーザー兼バンド・リーダ

ーのBob Azzamが、1971年にリリースした3作目となるSolo Album。Sweden産Soft Rock

と紹介されることもありますが、レコーディングとリリース元がSwedenということですの

で、その辺は誤解なさらぬよう。欧州各国を渡り歩いていた彼の経歴についてなどは前回の

Bob Azzam &The Great Expectations 『S.T.』の記事で軽く紹介しましたので、割愛させ

て頂きますね。本盤は、ヒップホップ系アーティストSanova Franが同名タイトルで「Let’s

Celebrate」をサンプリングソースとして使用したり、DJ~バッキングトラックの制作者、

さらには「Record Hour」などの音楽本まで、各所で取り上げられ、この1曲の収録で大変

  

人気な盤の1枚に成り上がりました。ヒップホップ界でのレコードからの音抜き行為は、

当時著作権問題として裁判が頻繁に行われていたそうです。ただ、今回紹介する『Garden

Of Love』やAlbert Jonesの「Mother Nature」などは、ネタとして扱われることで話題に

なることもありますので、一概にヒップホップを否定するのも考えもの・ (o゚-゚o)ン?

話がそれてしまいましたね。今回は、「Let’s Celebrate」の人気な今作をアルバム全体の

楽曲や、前作よりもさらに凄みを増したBob Azzamの作曲能力とコーラス・ワークを中心

に解説していきます。

 

※Soft Rockファンの方々にとっては、前作よりもややヴォーカル物に傾いてしまった分、

残念に思う方もいらっしゃるかと思いますが、コーラスは聴き応えあるので是非下記視聴だ

けでも試してみてください。

独特なメロディとコーラス

Bob氏の書く曲は欧米のライターとは作風が一味違い、エキゾチック漂うメロディ・ライン

はとても新鮮で魅力があります。今作には、やや東洋的というか歌謡曲ぽいメロディを持つ

曲も含まれており、そこは我々日本人からすると懐かしさを感じる部分と相俟って、余計に

気に入ってしまうのではないかと思ってます。他にもラテン・フレーバーからアフリカンな

サウンドまで取り扱っていたり、さらには1曲の中で劇的にサウンド・チェンジを図り、聴衆

をハッと思わせる曲があったりと、とてもユニークでオリジナルティに富んでいます。そん

な彼の書く曲をさらに独特なものにさせているのがコーラスです。前作でもファルセットに

よる一糸乱れぬパッセージ・コーラスを披露しておりましたが、今作でも(一部の曲を除き)

同様のスタイルを貫いていて、メロディに一味も二味も魅力を増倍させています。ポイント

になるのは、カウンターコーラスの入り方。イントロ~Aメロ・Bメロでは全くコーラスがな

く、サビに入った絶妙な瞬間に、ここぞとばかりに分厚いコーラスが登場します。この抜群

のタイミングと勢いに圧倒されてしまいます。特にSide-1の「The Birds Are Happy」が良

い例ですね。本盤を聴く際には、Bob氏の書くメロディとコーラス・ワークに注意している

と彼の力量と魅力がよく分かり楽しめると思います。



アルバム内容

今作は両面5曲ずつの全10曲の収録です。最初にお伝えした通り、全曲Bob Azzamのオリジ

ナルです。前作でBobと共にアレンジを務めたHugo Herediaとの共作がほとんどを占め

ております。下記に、収録曲と作曲者について記載しておきましたのでご参照ください。

Hugo Heredia

Side-1

1 「Let’s Celebrate」・・・Bob Azzam / Hugo Heredia

2 「The Birds Are Happy」・・・Bob Azzam

3 「People Just Like You」・・・Bob Azzam / Hugo Heredia

4 「Here Comes The Dawn」・・・Bob Azzam / Hugo Heredia

5 「Garden Of Love」・・・Bob Azzam / Hugo Heredia

Side-2

1 「Punch And Judy」・・・Bob Azzam / Hugo Heredia

2 「I’m Coming Home To You」・・・Bob Azzam / Hugo Heredia

3 「My Love For You」・・・Bob Azzam / Alstone

4 「Don’t Do It Alone」・・・Bob Azzam

5 「I Could See」・・・Bob Azzam / Hugo Heredia

気になる曲をピックアップしてご紹介しましょう!まずDJ向きのフロア・ユースな1曲

「Let’s Celebrate」は、出だしのダイナミックでゴージャスなホーン・セクションが何度

聴いても痺れますね。東洋風のメロディとラララ・コーラスが印象的ですが、Bob氏の歌声

も非常に美しく素晴らしいです。余裕たっぷりの声量と、よく伸びるゴムの様な歌唱力には

光るものがありますね。聴いて頂ければ分かると思いますが、実はこのゴム唱法(ゆいさん命

名)が彼の得意とする歌唱パターンで、続く「The Birds Are Happy」のサビでも一転してテ

ンポを落として粘っこく歌い上げています。3曲目「People Just Like You」でのスロー・

バラードでは、少ない伴奏の中で見事にピッチが狂うことなく歌いこなし、綺麗なビブラ

ートも披露してます。そしてタイトル曲「Garden Of Love」では、コーラスで参加してい

るThe Great Expectationの面々の合唱スタイルの曲。キャッチーなメロディが心地よく

可愛らしいです。

Side-2に移って、冒頭の「Punch And Judy」は、Bob氏の独特な世界観から創り出された

Soft Rockナンバー。後半からまるで異なったサウンドが登場します。ソフトでふわふわし

たサウンドやコーラスが心地よいです。さらにポップでBob節炸裂の「I’m Coming Home

To You」が続き、ミディアム・バラードの「My Love For You」や、中盤でインド音楽風の

メロディを持つキャッチーな「Don’t Do It Alone」、そしてラストを飾る「I Could See」

は、聴き始めはただのスロー・バラードかと思っていましたが、中盤でサイケデリックな

展開になり、さらに洒落たジャジーなワルツへと激しくサウンド変化をして、最後には再び

元のメロディに戻るといった構成になっています。

最後の最後まで気が抜けず、全く飽きずに全編通して楽しめる内容になっております。

全体をまとめたMix動画を作成しましたので、是非お試しください。

ゆいさんのおススメ

『S.T.』に収録された「Tears Go By」に非常によく似た曲です。初めて聴いた時はタイト

ルと歌詞だけ変えた同じ曲かと思ってましたが、両曲を何度も聴き比べてみた結果、メロ

ディが微妙に異なっていて、特にサビでのBob氏のゴム唱法とコーラスがさらに改良され

てパワーアップしています。暗く静かな歌いだしから、ホーン・セクションと共に徐々に

メロディが高揚していき、サビで一糸乱れぬ重層コーラスが登場。ここまでの持っていき

方が尋常じゃなくカッコ良く、東洋風メロディとも相俟って胸にグッときます。

この曲を大音量で聴くとアドレナリンMAXになり、最高のストレス発散になりますので、

是非下記視聴でお試しください!

ジャケット

ご存知だと思いますが、本盤はヌードジャケと橋ジャケの2種類あります。

どちらも規格品番「E 062-34383」が全く一緒なので、どちらかがオリジナルという訳では

なく両方共オリジナルと捉えて問題ないと思います。内容は全く同じですが、橋ジャケの方

は、裏にBob氏の素敵な笑顔写真の掲載があります。ヌードジャケはただ曲目リストのみ、

それに加えてラベル面の曲順が間違って印刷されてます。

  

シングル

1971年『Garden Of Love / Let’s Celebrate』

同年にシングルがリリースされています。「Let’s Celebrate」目当てであれば、この1枚を

購入すれば良いんですが、こちらもすこぶるレア度が高い(ノ゚ρ゚)ノ ォォォ・・

皆さん、発掘作業頑張ってくだいね~