Barry Kim 『S.T.』LP 1983年作

レコードの裏ジャケに書かれるライナー・ノーツというのは、大抵プロデューサーやその他

関係者が、メインとなるアーティストに向けて賛辞を呈するのが一般的ですが、今回紹介す

るこの盤では、主役であるBarry Kimから制作をサポートしてくれた方々への感謝の念を込

めた文面になっております。とりわけプロデューサーから作曲・演奏・アレンジ・ミックス

など全面的にサポートしてくれたBrian Robertshawには特別に強い畏敬の念を感じていると

のことです。この作品は、実際「Brian Robertshaw & Barry Kim」だ、とも言及されてい

ます。という訳で、今回は歌声がメインのBarryと彼を裏でサポートするBrianの2人によっ

て生まれたハワイ物のアルバムを紹介します。表ジャケの優しそうな笑顔からイメージでき

るように、Barryのハートウォーミングなヴォーカルがアルバム全体を優しく包み込んでいま

すので、同趣向のRoddy Llewellyn『Roddy』やTed Pampeyan『Brand New Me』が好き

な方にはおススメ作品です。

 

この盤について

名の知れないBee Bee Recordsなるレーベルからのリリースで、規格品番から見るに高確率

で自主制作盤だと思われます。今作の品番が「SLP-002」に対して1st Album『Hawaiian

Favorites』が「SLP-001」となっているので、本盤が彼の2nd Albumで間違いないでしょ

う。ちなみにその後ライブアルバムもリリースしております。年代については記載がないの

ですが、販売者から聞いたところ1st、2ndそしてライブアルバムは、全て1983年にリリース

されているとのこでした。一年に3枚も!?本当かなぁ?結構いい加減な人なのであまり当て

にしてませんが、一応そういうことらしいですよ。

参加ミュージシャン

今作のプロデューサーBrian Robertshawが、Audy Kimuraの1983年にリリースされた

『Looking For “The Good Life”』のアレンジ、そしてBilly Kauiの名盤『S.T.』にアレンジ

とコンダクター、さらにはMacky Feary BandにもMixで参加したりされている関係からなの

でしょうかか、総勢30名を超える参加ミュージシャンの中にはKalapanaやThe Krush関連

のハワイ系人脈が名を連ねております。

  

Melinda Caroll

1952年4月4日生まれのMelindaはフロリダ州ジャクソンビル出身のミュージシャン。

生涯にわたるガール・スカウトのメンバーとしても知られる彼女は、ハワイに移住してから

も指導者としてガール・スカウト活動に専念しつつ、メンバーの子供たちに歌わせたKids

物の『Girl Scouts Greatest Hits』シリーズの作曲からプローデュースまで行い、マルチな

活躍ぶりで知られてます。自身の音楽キャリアは、今作のデュエット作を筆頭に、84年作

『The Wonder』やLegend Productionsから複数のアルバムをリリースしてます。

84年作『The Wonder』



アルバム内容

今作は両面5曲ずつの全10曲の収録です。プロデューサーのBrian Robertshaw とBonnie

Gearheartなる人物によるオリジナル・ソングが2曲、その他は全てカバーです。幾つかの曲

ではトロピカルな楽曲はありますが、全体通して聴くとそこまでハワイ出身の割には南国風

なサウンドという印象はありませんでした。

爽やかなポップ・ナンバーと、Vocal物のバラード、そしてMelinda Carollとのデュエット

のブリージンAORの大体3種に大別できまして、その比率もバランスが良い上に選曲のセン

スの良さや各曲毎に異なったアレンジを施したりと、全体の構成も含め素晴らしいものにな

っております。以下、収録曲です。

Side-1

1 「Paradise」・・・Teddy Randazzo

2 「Fool For Your Love」・・・Leo Sayer / Michael Omartian

3 「For The Sake Of A Memory」・・・Sam Dees

4 「Love Will Carry Me Home」・・・Ruff / Beckmeier / Viseltear

5 「These Moments」・・・Cecilio Rodrigues

Side-1

1 「Dream Lover」・・・Bobby Darin

2 「Won’t You Give Me A Chance」・・・Glen Moore

3 「All I Ever Need」・・・J.Sawyer

4 「This Is Love」・・・Brian Robertshaw / Bonnie Gearheart

5 「Honolulu」・・・Brian Robertshaw / Bonnie Gearheart

冒頭のTeddy Randazzo作「Paradise」は、トロピカル・メローナンバー。Melindaとのデ

ュエットなんですが、交互に歌いあったり2人でハモったりと、息もピッタリあった歌唱が見

事です。特に低めの歌声のBarryと透き通ったMelindaの歌声のコントラストが、最高に素晴

らしく聴き応えあります。ブリージン・メローなサウンドからAORファンに受けが良さそう

ですね。続くLeo Sayer作の「Fool For Your Love」は爽やかでポップな佳曲。オリジナル

と比べるとノリの良さと濃厚さでは、こちらが一歩上を行く出来。ゆいさん的におススメの

1曲です。

そして3曲目・5曲目とB面の2曲目・5曲目は、Barryの歌声にしみじみと浸れるVocal系

バラード・ナンバーです。B面冒頭Bobby Darinのカバー「Dream Lover」は、Doo-Wop調

のオールディーズ・ポップ。「ィヤッィヤッ」などの女性コーラスも効果的で、このアルバ

ムでは若干浮いた1曲ですが楽しめます。さらに注目はMelindaとのデュエット曲の「This

Is Love」。「Paradise」とは異なり、こちらでは重奏スタイル。ラテン・フレーバー漂う

コンガの音色とサマー・ブリージンなサウンドが最高に気持ち良いですね。

最後に

都会的なメローさと暖かみのあるBarry Kimの歌声が印象深く、全体的には粒揃いな内容

です。この内容の良さなら買っても損はないと思いますよ。 では、また!